アウディAGは1991年秋、小型車「アウディ・80」に5年ぶり3度目のフルモデルチェンジを実施し、4代目B4系に移行させました。ホイールベースの延長により先代で不満の声が多かった居住性が改善されると共に、直5エンジンの復活やV6エンジンの追加などエンジン・ラインナップの拡充が図られました。
初代モデル以来のワゴンが復活
ボディタイプは、4ドアセダンに加え初代モデル以来となる5ドアステーションワゴン「アヴァント」が設定された他、派生モデルとして3ドアハッチバッククーペの「クーペ」と2ドアソフトトップコンバーチブルの「カブリオレ」がラインナップされました。スタイリングは、フラッグシップモデル「アウディ・V8」の流れを汲む意匠のフロントマスクが与えられるなど、イメージが一新されました。
セダンのボディサイズは全長4,580mm×全幅1,694mm×全高1,379mmで、先代から全長が拡大された一方、全高は僅かに低くなりました。ホイールベースは2,596~2,611mmで、先代から60~70mm程延長されました。サスペンション形式はフロント:マクファーソンストラット式/リア:トレーリングアーム式で、駆動方式は従来同様にFFとフルタイム4WD「クワトロ・システム」が設定されました。
多彩なエンジン・ラインナップ
エンジンは、本国では1.6L直4、1.8L直4、2種類の2L直4 8V仕様及び同16V仕様、2.3L直5、2.6L V6、2.8L V6のガソリン8種類と、1.9L直4ターボ及び同直噴ターボのディーゼル2種類が用意されました。トランスミッションは5速MTと、ロックアップ機構付の電子制御式4速トルコン式ATが設定されました。
その後、1994年に実質的な後継車種「アウディ・A4」がデビューした事を受け1996年に生産を終了、初代モデル以来24年の歴史に幕を下ろしました。日本市場においては、1992年2月にまずセダン「2.0E」及び「2.3E」が、追って4月に「2.8Eシュポルト」が導入されました。搭載エンジンは、それぞれ2L 8V仕様(最高出力115ps)、2.3L(最高出力130ps)、2.8L(最高出力170ps)でした。
駆動方式はいずれもFFで、トランスミッションは4速ATとの組み合わせでした。次いで1993年5月に、2.0E/2.3Eをベースにエアロパーツが装備される特別仕様車「エアロスペシャル」が設定されました。更に同年10月には、2.6Lエンジン(最高出力150ps)+4速AT搭載を搭載するアヴァント「2.6E」が追加されました。
次いで1994年10月、セダンの特別仕様車として2.0Eがベース「カラーエディション」「エクスクルーシブエディション」と、アヴァントと同じ2.6Lエンジンを搭載する「2.6Eスポーツエディション」「2.6Eエクスクルーシブエディション」が設定されました。更に翌11月には、アヴァントにアウトドア志向の特別仕様車「スーリー」が設定されました。
そして翌1995年8月、セダン2.0E/2.6Eをベースとする最後の特別仕様車「リミテッド」が設定された後、同年10月をもって販売終了となりました。