1958年10月の東京自動車ショウにおいて、プリンス自動車工業は前年にリリースした小型セダン「スカイライン」(ALSI型)の派生モデルとなる高級4ドアセダン「スカイライン1900」を出展、翌1959年1月に車名を「グロリア」と改めた上で市販を開始しました。車体や基本メカニズムをスカイラインから流用しながら、より上質な内外装を纏う事で差別化が図られていました。
スカイラインから全長を延長
車体の構造は、スカイライン同様バックボーントレー式フレームにボディを架装した強固なもので、スタイリングは同様にテールフィンが備わるなどアメリカ車風の雰囲気が受け継がれました。一方で、ヘッドランプはスカイラインの丸形2灯式に対し丸形4灯式が採用され、テールランプもテールフィン後部に備わるスカイラインと異なり低い位置に丸形4灯式が装着されるなど、より上級志向の雰囲気に纏められていました。
ボディサイズは全長4,380mm×全幅1,675mm×全高1,535mmで、スカイラインから全長が100mm延長されていました。ホイールベースは同一の2,535mmで、車両重量は50kg重い1,360kgでした。サスペンション形式はスカイラインと共通で、フロントにダブルウィッシュボーン/コイル式が、リアに当時としては独創的だったド・ディオンアクスル/リーフ式が採用されました。
戦後の国産車初の3ナンバー車に
駆動方式もスカイライン同様のFRを踏襲し、エンジンはスカイラインに搭載された1.5L直4OHVのGA30型(最高出力60ps/最大トルク10.8kgm)をボアアップにより1.9Lに拡大したGB30型が採用されました。ダウンドラフト式シングルキャブレターを装備し、8.5:1の圧縮比から最高出力94ps/4,800rpm・最大トルク15.6kgm/3,600rpmのアウトプットを発生しました。
ローのみノンシンクロとなる4速コラム式MTを介しての最高速度は、140km/hでした。尚、1.5Lを超える排気量は3ナンバー登録であった当時において、戦後の国産車として初の3ナンバー車となりました。その他の機構面では、ステアリング形式はスカイライン同様のウォーム&ローラー式を踏襲し、ブレーキも同様に4輪ドラム式が採用されました。
タイヤサイズはスカイラインの6.40-14に対し、よりワイドな7.00-14が装着されました。グレードはモノグレード設定で、室内は前後席ともにオールウールの西陣織を採用したベンチシート仕様となる他、前後席それぞれのセンターにアームレストが備えられていました。そして1961年2月にマイナーチェンジが実施された後、翌1962年9月にフルモデルチェジを受け、2代目S40型に移行しました。
初代グロリアは、発売間もなく皇太子明仁親王(現・今上天皇)に納入されるなど、国産高級車の代名詞的な存在でした。