トヨタのミディアムセダン「プログレ」は、「小さな高級車」をキャッチフレーズに掲げ1998年5月にデビューを飾りました。ボディサイズを5ナンバー枠相当(全幅1,700mm)に納めつつ、ロングホイールベースの採用により十分な居住性を確保すると共に、先進的な装備を用意した事が特徴でした。コンパクトな車体に対する高級品質を詰め込んだものの、消費者には割高感と捉えられたのか、販売は振るわず、プログレは1代限りで生産終了となりました。
マークⅡよりも小ぶりなボディ
ボディタイプは4ドアセダンのみの設定で、スタイリングはコンサバティブな雰囲気を醸すものでした。又、角型2灯式ヘッドランプと格子状のフロントグリルは、ショーファードリブン「センチュリー」を彷彿とさせるものでした。ボディサイズは全長4,500~4,510mm×全幅1,700mm×全高1,435~1,450mmで、同時期の8代目「マークⅡ」よりも全長・全幅が小ぶりに纏められていました。
一方ホイールベースはマークⅡよりも50mm長く、同時期の10代目「クラウン」と同一の2,780mmで、前後のオーバーハングの短さがプロポーション上の特徴となっていました。車両重量は1,460~1,540kgで、クラウンに匹敵若しくは上回る重さでした。サスペンション形式は4輪ダブルウィッシュボーン式で、駆動方式は発売当初FRのみだったものの、翌1999年12月にフルタイム4WDが追加されました。
発売当初搭載されたエンジンは、2.5L直6の1JZ-GE型(最高出力200ps/最大トルク25.5kgm)及び3L直6の2JZ-GE型(最高出力215ps/最大トルク30kgm)で、トランスミッションは4速トルコン式ATが組み合わせられました。発売時のグレード体系は、2.5Lエンジン搭載の「NC250」と3Lエンジン搭載の「NC300」の他、それぞれにウォールナットのインテリアなどが備わる「ウォールナットパッケージ」が設定されました。
装備面では、全車にSRSデュアル&サイドエアバッグシステムやABS、ブレーキアシストが、「NC300」系にクルーズコントロールが標準装備されました。又、国産車初の装備となる、ナビ情報などを元に最適なシフト制御を行う「NAVI・AI-SHIFT」がオプション設定されました。そして1995年5月に、スポーツサスペンションが備わる新グレード「iRバージョン」が追加されました。
M/Cでエンジンを直噴化
次いで2000年4月に仕様変更を行い、横滑り防止装置「VSC」が全車に標準装備されました。続いて2001年4月にマイナーチェンジを実施し、フロントグリルやアルミホイールなどの意匠が変更されました。同時に全車エンジンが直噴化され、型式が2.5Lが1JZ-FSE型に、3Lが2JZ-FSE型となり、それぞれ燃費が向上すると共に後者は最高出力が220psに向上しました。又、FR車のATが5速化されました。
次いで2004年4月に一部改良を行い、全車にディスチャージヘッドランプが標準装備されました。そして2005年12月の一部改良の際には、全車に「ボイスナビゲーション機能付き電動ポップアップ式EMV」が標準装備された他、FR車に「NAVI・AI-SHIFT」が標準化されました。又、「NC250」系にもクルーズコントロールが標準装備されました。そして2007年6月に生産終了となりました。