フォード・モーター(フォード・ヨーロッパ)は1984年、世界ラリー選手権(WRC)に参戦するためのグループBホモロゲーションモデル、「RS200」をリリースしました。専用設計の車体や世界初のミッドシップレイアウト+フルタイム4WD方式を採用した意欲作だったものの、実戦ではフォードが期待したような結果は残せませんでした。
アルミハニカムモノコック構造のシャシー
ボディタイプは2ドア・2シーター仕様のクーペで、ボディ構造はアルミハニカムモノコック構造のシャシーとFRP製ボディシェルの組み合わせでした。スタイリングは丸型2灯式ヘッドランプおよび補助ランプが備わる丸みを帯びたフロントマスクや、跳ね上がったリアカウルが特徴でした。また、空力特性の指標となるCd値は0.4でした。
ボディ・ディメンションは全長3,998mm×全幅1,763mm×全高1,321mm、ホイールベース2,530mmで、車両重量は1,180kgでした。ミッドシップマウントされるエンジンは、オールアルミ製1,804cc直4DOHC電子燃料噴射+ギャレットT4ターボタージド仕様の「コスワースBDT」で、ロードバージョン標準仕様は最高出力250ps/8,500rpm・最大トルク19.8kgm/4,500rpmのアウトプットを発生しました。
さらにオプションのアップグレードキットを装着した場合、最高出力は300psに達しました。また、コンペティション仕様はさらなるチューンナップが図られ、最高出力が350~450psまで高められていました。組み合わせられるトランスミッションはZF製5速MTで、動力性能はロードバージョン標準仕様の場合で最高速度229km/h・0-60mph加速5sでした。
また、駆動システムはシフトレバーの操作により、FRモード、前後トルク配分37:63のフルタイム4WDモード、センターデフロックによる前後トルク配分50:50のフルタイム4WDモードの3つのモードを選択する事が出来ました。サスペンション形式は、ツインダンパー/ツインコイルの4輪ダブルウィッシュボーン式が採用されました。
ステアリング形式はロック・トゥ・ロック2.3回転のラック&ピニオン式で、ブレーキは285mmのディスク径を持つ4輪ベンチレーテッド・ディスク式が採用されました。ホイール&タイヤは、前後とも8J×16インチホイール+ピレッリ225/50VR16タイヤが装着されました。また、インテリアは水平基調のインパネと、赤いリムを持つ3本スポーク式ステアリングホイールを備えていました。
フォード RS200のインプレッション
フォード RS200のラリー走行シーン
WRCへの参戦
WRCへの参戦に関しては、生産の遅れから1985年シーズンには間に合わず、初参戦はWRCグループB最後のシーズンとなった1986年にずれ込みました。順位は3位が最高で、事故やトラブルの多発などにより総じて結果は振るいませんでした。なお、総生産台数は200台でした。