ダイハツのスーパートール軽ワゴン「タント」の初代モデルは、2003年11月に発売されました。それまでも、同社から「ムーヴ」、スズキからは「ワゴンR」といったトールワゴンが販売されていましたが、それらの車種よりも更に全高が高く設定され、ワンボックス軽ワゴンに迫るスペースユーティリティーを備えていた事が最大の特徴でした。
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独特な形状のボディ
ボディ形状は、エンジンフードが極限まで短縮された2ボックスで、ヒンジタイプの5枚のドアを持ち、垂直に近い角度のAピラーや大きなグラスエリアが特徴でした。全体的なフォルムは、ボクシーでありがらも角を丸めた柔らかいボディラインを持ち、独特なディメンションと相まって何処かユーモラスな雰囲気を醸すものでした。
ボディサイズは、全長3,395mm×全幅1,475mm×全高1,725mmで、全高はムーヴよりも95mm高く設定されていました。又、ホイールベースはムーヴよりも長い2,440mmで、当時の軽自動車では最長でした。ボディの容積拡大に伴い、車両重量はムーヴよりも60kg~80kg重い870kg~940kgとなっていました。サスペンション形式は、ムーヴと同様の前ストラット式/後トーションビーム式(FF)・3リンク(4WD)式を採用していました。
広大な室内空間
居住性の面では、低床化を図った設計の為室内高が非常に高く、子供であれば室内で立つ事が可能でした。それと共に、室内長もクラス最長となる2,000mmであった為、室内空間の広さは当時軽自動車随一の水準にありました。又、ダッシュボードのデザインは、低いスカットルとやや運転席側にオフセットされて設けられたセンターメーターが特徴的で、大きなフロントウィンドウと相まって、前席からの眺めは他に類のないものでした。
エンジンはムーヴと共通で、直3DOHC DVVT付NAのEF-VE型と、直3DOHC ICターボのEF-DET型が用意されました。最高出力と最大トルクは、それぞれ58ps/6.5kgm、64ps/10.5kgmで、スペックもムーヴと同一でした。駆動方式はFFとオンデマンド4WDが用意され、トランスミッションはトルコン式ATのみの設定で、NAの4WDモデルが3速、それ以外は4速が搭載されました。又、シフトレバーはインパネに設けられ、前席ウォークスルーが可能でした。
カスタム追加で更に人気向上
2005年6月に一部改良を実施し、装備や使い勝手が改善されると同時に、専用フロントマスクやエアロパーツにより外観をスポーティに仕上げ、内装の質感を高めた派生モデル「タント・カスタム」が追加されました。カスタムは標準型タントと同様に、エンジンはNAとターボが、駆動方式もFFと4WDが用意されました。
初代タントは、発売当初からメーカーが予想していた以上の大ヒットとなりました。特に子育て世代の女性からは、スペースユーティリティーの高さや乗降性の良さ、ファニーなスタイリングなどから高い支持を得ました。又、カスタムを追加してからは、コンパクトなミニバンを望む男性ユーザーを取り込む事に成功し、更なる販売拡大に繋がりました。