フォード・モーター(ヨーロッパ・フォード)より1972年3月に「ゼファー&ゾディアック」および「タウヌス」の後継車種としてリリースされたアッパーミディアムモデル「グラナダ」は、1985年4月におよそ8年ぶりにして2度目のフルモデルチェンジを受け、マークⅢに移行しました。基本設計が一新されるとともに、イギリス市場以外では車名が「スコーピオ」に変更されました。
当初は5ドアハッチバックのみを設定
プラットフォームは1982年にリリースされた乗用車「シエラ」がベースで、ボディタイプは当初先代に用意されていた2ドア/4ドアセダンと5ドアステーションワゴンが全て廃止され、5ドアハッチバックのみでのスタートとなりました。スタイリングはボクシーな先代から一新され、Cd値0.34の空力特性を持つエアロダイナミックなフォルムが採用されました。
ボディサイズは全長4,669mm×全幅1,765mm×全高1,397mmで、全高を除き先代から若干縮小されました。また、ホイールベースも僅かに短縮され2,761mmとなりました。駆動方式は、従来同様のFRの他にフルタイム4WD(※スコーピオのみ)が設定されました。エンジンは、先代からガソリンのラインナップが一部変更されるとともに、ディーゼルは廃止されました。
当初のラインナップは、1.8L直4SOHC電子燃料噴射仕様および2L直4SOHC電子燃料噴射仕様(最高出力117ps/最大トルク16.3kgm)の「ピント・ユニット」と、2.4L V6OHV電子燃料噴射仕様(最高出力130ps/最大トルク20.7kgm)および2.8L V6OHV電子燃料噴射仕様(最高出力152ps/最大トルク22.2kgm)の「ケルン・ユニット」の4種類でした。
サスペンションを一新
トランスミッションは、5速MTまたは4速トルコン式ATとの組み合わせで、先代に設定のあった4速MTは廃止されました。サスペンションは一新され、フロントがダブルウィッシュボーン式からマクファーソンストラット式に変更されるとともに、リアもリジッド・アクスル式から独立懸架式に改良されました。
その後、程なくして2.8L V6は2.9L V6(最高出力152ps/最大トルク23.8kgm)に置き換えられました。次いで1989年に1.8Lおよび2L直4エンジンが廃止され、翌1990年には新たなボディ・バリエーションとして4ドアセダンが追加されました。続いて1991年、2.9L V6DOHCエンジン(最高出力195ps/最大トルク28kgm)を搭載し、最高速度220km/h・0-100km/h加速8.8sの動力性能を持つ「コスワース」が追加されました。
更に翌1992年には、5ドアステーションワゴンと、2L直4DOHCエンジン(最高出力120ps/最大トルク17kgm)搭載車が追加されました。そして1994年にフルモデルチェンジが実施されると同時に、車名がスコーピオに統一されました。