初代モデルが2002年にデビューしたポルシェ初のSUV「カイエン」は、2010年3月に開催されたジュネーブショーで3代目が発表されました。先代から基本コンセプトを受け継ぎながら、ボディの軽量化などにより動力性能や燃費・環境性能、操縦安定性が向上した他、居住性も改善されました。又、ポルシェ初のハイブリッド/プラグインハイブリッドモデルも追加されました。
先代からボディを大幅に軽量化
スタイリングは先代のイメージを色濃く受け継ぐもので、一目でカイエンと分かる記号性が備わります。ボディサイズは全長4,845mm×全幅1,940mm×全高1,688~1,710mmで、先代から全長が35mm、全幅が10mm拡大され、ホイールベースも40mm延長され2,895mmとなっています。車両重量は2,060~2,350kgで、同一グレード同士の比較で最大180kg軽量化されています。
サスペンション形式は、先代同様の前:ダブルウィッシュボーン式/後:マルチリンク式を踏襲し、駆動方式も同様に全車フルタイム4WDを採用します。発売当初日本仕様に用意されたパワートレインは、先代同様の3.6L V6ガソリンNAと4.8L V8ガソリンNA及びターボに加え、新たに3L V6ガソリンスーパーチャージドエンジンとモーターを組み合わせたパラレル式ハイブリッドユニットが設定されました。
グレード及び搭載エンジンの詳細は、「カイエン」が3.6L(最高出力300ps/最大トルク40.8kgm)、「カイエンS」が4.8L NA(最高出力400ps/最大トルク51kgm)、「カイエンターボ」が4.8Lターボ(最高出力500ps/最大トルク71.4kgm)、「カイエンSハイブリッド」がハイブリッドシステム(システム最高出力380ps/システム最大トルク59.1kgm)というものでした。
トランスミッションは、全車に先代の6速から多段化された8速トルコン式ATが採用される他、3.6Lには6速MTも用意されました。又、アイドリングストップ機構や減速エネルギー回生システムの採用により、先代から燃費向上を果たしました。装備面では、「カイエンターボ」に電子制御可変ダンパー「PASM」やエアサスペンションが標準装備されました。
そして2012年6月に、「カイエンS」をベースに4.8L NAエンジンを最高出力420ps/最大トルク52.5kgmまでチューンナップし、専用エクステリアとローダウンサスペンションを備えるボディに搭載する「カイエンGTS」が追加されました。次いで2012年10月に、「カイエンターボ」をベースに4.8Lターボエンジンを最高出力550ps/最大トルク76.5kgmまでチューンナップして搭載する「カイエンターボS」が追加されました。
M/Cでパワートレインを改良
そして2014年7月にマイナーチェンジを実施し、エクステリア面ではフロント廻りやリア廻りのデザインが変更されると共に、インテリア面ではマルチファンクションスポーツステアリングホイールが採用されました。グレードは、まず「カイエンS」と「カイエンターボ」、そして「カイエンSハイブリッド」をベースにプラグインハイブリッド化した「カイエンS-Eハイブリッド」の3グレードが用意されました。
パワートレインも刷新もしくは改良され、「カイエンS」には新開発された3.6L V6ツインターボエンジン(最高出力420ps/最大トルク56.1kgm)が搭載され、「カイエンターボ」は同一エンジンながら最高出力520ps/最大トルク76.5kgmまでパワーアップを果たしました。又、「カイエンS-Eハイブリッド」もスペックがシステム最高出力416ps/システム最大トルク60.2kgmに向上しました。
続いて同年11月に、マイナーチェンジ版の「カイエン」及び「カイエンGTS」が追加されました。前者はパワートレインに変更はないものの燃費が向上すると共にMTを廃止、後者は最高出力440ps/最大トルク61.2kgmまでパワーアップすると共に燃費の向上も果たしました。更に2015年1月に、最高出力570ps/最大トルク81.6kgmのスペックを持つマイナーチェンジ版「カイエンターボS」が追加されました。