ルノーは1991年、1983年にリリースした「25」に代わるフラッグシップモデル「サフラン」を発表、翌1992年に販売を開始しました。3ボックス型5ドアハッチバックボディを持つFF車という基本構成を踏襲しながら、新たにフルタイム4WD車やドイツのチューナー「ハルトゲ」がチューニングを手掛けた高性能モデルが設定されるなど、新機軸が打ち出されました。
25からサスペンションを一新
エクステリア・デザインはジョルジェット・ジウジアーロにより手掛けられ、25よりも丸みを帯びたフォルムに変貌すると共に6ライトウィンドウ化された事が特徴でした。ボディサイズは25より一回り大きい全長4,736mm×全幅1,806mm×全高1,414mmで、ホイールベースも若干延長され2,766mmとなりました。
エンジンは当初、2L直4SOHC(最高出力107hp)、2.2L直4SOHC 8V(最高出力110hp)、同16V(最高出力140hp)、3L V6SOHC(最高出力170hp)のガソリンNA4種類と、2.1L直4SOHC ディーゼルターボ(最高出力90hp)が用意されました。トランスミッションは、5速MT又は自社製の4速トルコン式ATが組み合わせられました。
サスペンション形式は25から一新され、フロントにマクファーソンストラット式、リアにマルチリンク式が採用されました。又、装備面ではルノー車初のSRSエアバッグシステムが採用された事が特徴でした。そして1994年、前述したハルトゲの手による高性能モデル「ビトゥルボ」がラインナップに加わりました。
フェイスリフトと共にパワートレインを一新
パワートレインはガソリン3L V6SOHCツインターボエンジン(最高出力280hp)+5速MTの組み合わせで、駆動方式はフルタイム4WDが採用されました。最高速度250km/hに達する高性能を発揮したものの、販売台数は僅か500台余りに留まりました。次いで1996年にフェイスリフトが実施され、フロントマスクの刷新と共にパワートレインが一新されました。
エンジンは、ガソリンはボルボ製の2L直4SOHC(最高出力140hp)及び2.5L直5DOHC(最高出力170hp)と、PSAと共同開発した3L V6DOHC(最高出力192hp)の3種類となり、ディーゼルは新開発の2.2L直4SOHCターボ(最高出力115hp)に置換されました。又、トランスミッションはMTはシフトフィールの向上が図られ、ATはアイシン・ワーナー製に変更されました。
そして1998年、後継モデルのリリースもないまま生産終了となりました。新たなフラッグシップモデル「ヴェルサティス」が登場するのは、それから3年後の事でした。サフランが日本に初上陸したのは1995年1月の事で、当初は3L V6エンジン+4速ATを搭載し、電子制御エアサスペンションが備わる「バカラ」のみのモノグレード設定でした。
追って同年11月に、同じパワートレインを採用する廉価グレード「RXE」が追加されました。その後グレードの追加やフェイスリフト版の導入などは行われず、在庫分が完売した1998年末を持ってルノージャポンのラインナップから姿を消しました。