スズキ自動車は2008年1月、軽自動車初のスーパーハイトワゴンとして大ヒットしたダイハツ工業の「タント」に対抗すべく、同社初の同タイプモデルとなる「パレット」を発売しました。ロングホイールベース化が図られた新プラットフォームに、同社のハイトワゴン「ワゴンR」よりも100mm程背の高いボディが架装され、優れたユーティリティを持ち味としました。
両側にスライドドアを採用
ボディタイプは2ボックス型5ドアハッチバックで、助手席側の後席用ドアのみがスライド式となるタントと異なり、両側に後席用スライドドアが採用された点が特徴でした。ボディサイズは全長3,395mm×全幅1,475mm×全高1,735~1,745mmで、ホイールベースはワゴンRよりも40mm長い2,400mm、車両重量は70kg以上重い900~990kgでした。
サスペンションは形式は、ワゴンR同様のフロント:マクファーソンストラット式/リア:I.T.L式が採用され、駆動方式も同様にFFとフルタイム4WDが設定されました。エンジンはワゴンR譲りの660cc直3DOHCのK6A型で、当初VVT搭載NA仕様(最高出力54ps/最大トルク6.4kgm)と低過給圧のMターボ仕様(最高出力60ps/最大トルク8.5kgm)が用意されました。
トランスミッションは、当初は全車インパネシフト式4速トルコンATとの組み合わせでした。発売時のグレード体系は、NAエンジン搭載の「G」「X」「XS」とターボエンジン搭載の「T」の4タイプのラインナップでした。安全装備面では、全車にEBD付きABSが備わる他、Gを除く全車にSRSサイドエアバッグシステムが、更にTSには軽自動車初のSRSカーテンエアバッグシステムが採用されました。
そして2009年9月に一部改良が実施され、専用エクステリアが備わるスポーティ仕様車「パレットSW」が追加されました。グレードは、NAエンジン搭載の「GS」「XS」と高過給圧ターボエンジン(最高出力64ps/最大トルク9.7kgm)搭載の「TS」の3タイプがラインナップされました。一方標準車は、NAエンジン搭載の「G」「L」「X」の3タイプのラインナップとなりました。
副変速機付きCVTを設定
同時に、標準車・GとSW・GSを除く全車に副変速機付きCVTが採用され、エンジンの改良と相まって燃費性能が向上しました。次いで2010年5月の仕様変更でラインナップが見直され、標準車・GとSW・GSが廃止になりました。追って同年8月の一部改良では、CVTに改良が施され燃費性能が一段と向上した他、標準車・Tが高過給圧ターボエンジンを搭載して復活しました。
次いで2012年2月の一部改良でNA・FF車のパワートレインに改良が施され、燃費性能が更に向上しました。追って同年6月にも一部改良が行われ、内装の仕様変更と共にSW・XSをベースにアイドリングストップ機構を搭載した「XSアイドリングストップ」が追加されました。そして2013年2月に後継車種「スペーシア」の発売に伴い生産を終了、パレットの車名はラインナップから消滅しました。