ボルボ・カーズは2002年、同社として初のクロスオーバーSUVとなる「XC90」を発売しました。ミニバン並みの多彩なシートアレンジを可能とした3列シート7人乗り仕様の設定や、同社のモデルに相応しい充実した安全装備がセリングポイントでした。駆動方式はハルデックス社との共同開発によるフルタイム4WDの他、FFも用意されました。
プラットフォームをS80と共有
5ドアのボディは全長4,798mm×全幅1,898mm×全高1,784mm、ホイールベース2,857mmという堂々たる体躯と共に、SUVとしては優秀なCd値0.36の空力特性を備えていました。プラットフォームはフラッグシップセダン「S80」などと共通のP2プラットフォームで、サスペンション形式もフロント:マクファーソンストラット式/リア:マルチリンク式が踏襲されました。
エンジンは当初、2.5L直5(最高出力211ps/最大トルク32.6kgm)及び3L直6(最高出力272ps/最大トルク38.8kgm)のガソリンターボと、2.4L直5(最高出力163ps/最大トルク34.7kgm)のディーゼルターボが用意されました。組み合わせられるトランスミッションは、6速MTと4速/5速トルコン式ATが設定されました。一方室内は、前述の7人乗り仕様の他、2列シート5人乗り仕様も用意されました。
V8エンジン車を追加
又、安全装備としてはSRSデュアル&サイド&カーテンエアバッグシステムをはじめ、むち打ち症対策安全シートやEBD付ABSなどが全車に標準装備されました。その後2005年にガソリン3Lターボエンジンに代わり4.4L V8NAエンジン(最高出力315ps/最大トルク44.9kgm)が、翌2006年にはガソリン2.5Lターボエンジンに代わり3.2L 直6NAエンジン(最高出力238ps/最大トルク32.6kgm)が設定されました。
次いで2007年にフェイスリフトが実施された後、複数回の一部改良を経て2015年にフルモデルチェンジが実施され、現行型に移行しました。初代XC90の日本市場への初上陸は2003年5月で、以降導入されたグレードは全てガソリンエンジン+AT仕様の4WD車でした。当初のラインナップは、2.5Lエンジン+5速AT搭載のベースグレード及び「2.5T」と、3Lエンジン+4速AT搭載の「T-6」の3タイプでした。
その後2005年8月に、4.4Lエンジン+6速AT搭載の「V8TE」が追加されました。続いて翌2006年10月には、ベースグレードのパワートレインが3.2Lエンジン+6速ATに置換されると共に、その上級グレードとなる「3.2」が設定されました。同時にV8TEの廉価版となる「V8」が追加された他、2.5Tは廃止されました。
次いで2007年10月、フェイスリフト版に切り替えられると共に、カタロググレードが「3.2SE AWD」と「V8 TE AWD」の2タイプに整理されました。続いて2009年7月、一部改良と共にグレードが3.2Lエンジン搭載の「ノルディック」「3.2Rデザイン」の2タイプとなり、V8エンジン車は廃止されました。その後はパワートレインの追加・変更などは行われず、仕様とグレード体系の変更のみが実施されました。