プジョーは1948年10月のパリサロンにおいて、同社として戦後初のモデルとなる小型乗用車「203」を発表しました。1936年にデビューし戦後に生産が再開された「202」の後継モデルと位置付けられ、コンベンションナルなFR方式を踏襲しながらも、モノコックボディを採用するなど構造面で近代化が図られていました。
クロスフローヘッド・エンジンを搭載
ボディタイプは当初、5人乗りの4ドアセダン「ベルリーヌ」と、それをベースにルーフ及びリアウィンドウの開閉を可能としたセミオープンモデル「デクブラブル」が用意されました。スタイリングは、フロントフェンダーがボディと一体化されると共にフロントグリルがワイド化されるなど、202から大幅なモダナイズが図られました。
ボディサイズは全長4,350mm×全幅1,620mm×全高1,500mmで、202から全長が280mm、全幅が120mm拡大されました。又、ホイールベースは130mm長い2,580mmに設定され、車両重量は120kg程重い910kgとなりました。サスペンション形式は、フロントにウィッシュボーン/横置きリーフ式が、リアにトルクチューブ+ラジアスアーム/コイル式が採用されました。
フロントに搭載されるエンジンは、新設計されたクロスフローヘッド採用の水冷1.3L直4OHVで、最高出力42hp/最大トルク8.2kgmのアウトプットを発生しました。トランスミッションはコルム式4速MTとの組み合わせで、最高速度115km/hの性能でした。グレード体系は、ベルリーヌには標準グレード「アフェール」と上級グレード「ルクス」が設定されました。
ボディ・バリエーションを拡充
そして1950年7月、新たにステーションワゴン・ボディがラインナップに加わりました。バリエーションは、5ドア・3列シート6人乗りの「リムジン・ファミリアール」と同2列シート4人乗りの「リムジン・コメルシアル」、そして3ドアの「フルゴネット」の3タイプが用意されました。その他に、ピックアップトラックもリリースされました。
次いで1951年10月に2ドア・2シーター仕様のカブリオレが、翌1952年10月にカブリオレをベースとしたクーペが追加されました。続いて1954年9月にマイナーチェンジが実施され、トランスミッションのリニューアルやサスペンションのセッティング見直しが行われると共に、車名が「203C」に変更されました。同時に、デクブラブルは廃止されました。
更に1955年1月には、カブリオレに内外装の加飾を施した上級グレード「グランルクス」が設定されました。追って同年4月に実質的な後継モデル「403」がデビューを飾った後も併売され、1959年2月にはベルリーヌにもグランルクスが設定されました。そして1960年2月をもって生産を終了、12年に及びモデルライフに幕を下ろしました。