1982年5月、三菱自動車はスペシャリティカー「スタリオン」を発売しました。当時、同社には同じカテゴリーの車種として「ギャラン ラムダ/エテルナ ラムダ」(以下ラムダ)が存在していましたが、すぐに置き換えられる事はなく、暫くの間両モデルは併売されました。ボディ形状は、ラムダが2ドアハードトップであったのに対し、スタリオンはBピラーとハッチゲートを備える3ドアクーペでした。
シャープなスタイリングにラムダ譲りのエンジン
スタイリングは、当時の流行でもあった直線を多用したシャープな造形で、大きなグラスエリアを持つリアウィンドウと、リトラクタブルヘッドランプ採用によるすっきりしたフロントマスクが特徴でした。ラムダに引き続き後席も設けられ、乗車定員は5人でした。ボディサイズは、全長4,410mm×全幅1,695×全高1,320mmで、ラムダよりも短く広く低いディメンションでした。
プラットフォームはラムダから引き継いだものでしたが、ホイールベースは10cm近く短縮された2,435mmでした。車両重量は1,230kg~1,260kgで、ラムダとほぼ同等でした。駆動方式はFRを踏襲し、サスペンションは4輪マクファーソンストラット式のモデルが主力で、初期のNAモデルのみリアが4リンクリジッドでした。又、ブレーキは4輪ディスクブレーキが奢られていました。
エンジンは、これもΛから受け継いだ2L直4 SOHCのG63B型で、発売当初はNAとターボが用意されたものの、NAは翌年にカタログ落ちしました。ターボ仕様のスペックは、最高出力175ps/5,500rpm、最大トルク25kgm/3,500rpmでした。トランスミッションは、5速MTと4速トルコンATが用意されました。
三菱 スタリオンのCM(1982)
キャノンボール2での三菱スタリオン走行シーン
ゴリラ警視庁捜査第8班のオープニング ガルウイングのスタリオン
エンジンの変更とワイドボディ化
1984年に、可変バルブ機構式3バルブヘッドとインタクーラーを装備した「シリウスDASH3×2」と呼ばれるエンジンが加わり、新グレード「GSR-V」に搭載されました。スペックは、最高出力200ps/6,000rpm、最大トルク28.5kgm/3,500rpmで、従来型エンジンよりも大きく向上していました。
翌1985年にマイナーチェンジを実施し、フェイスリフトと装備の充実が図られました。次いで1987年、それまで輸出専用であったブリスターフェンダー仕様のボディを備えるグレード「GSR-VR」が、限定販売されました。このモデルは、全幅が1,745mmとなった為、3ナンバー登録となりました。そして、翌1988年には、全グレードがこのワイドボディに統一されると共に、エンジンが刷新されました。
新たに搭載されたエンジンは、2.6L直4 SOHC 2バルブ+インタークーラーターボのG54B型で、最高出力175ps/5,000rpm、最大トルク32kgm/3,000rpmという排気量の割には控えめなスペックを持ち、扱い易さを重視したセッティングとなっていました。又、ABSやLSDが標準装備となった事も特徴でした。これらの変更に伴い、車両重量は1,320kg~1,340kgとやや重くなっていました。
スタリオンは、廉価な割に走行性能が高かった事に加え、当時はスペシャリティカー市場が大きかった事も手伝い、一定の成功を収めました。後継モデル「GTO」が登場するまで、8年間に渡り生産が続けられるロングセラーとなりました。