ジャガー・カーズは1954年のロンドン・モーターショーにおいて、4ドアセダン「マークⅦ」の改良型「マークⅦM」と共に、6年前にリリースした2シーターFRスポーツカー「XK120」の改良型となる「XK140」を発表しました。シャシーや基本的なスタイリングはXK120譲りであったものの、エンジンの改良や前後重量配分の改善などにより走行性能が一段と向上していました。
FHCは2+2仕様に
ボディタイプは先代同様、2シーター・オープン仕様のロードスター及びコンバーチブル「DHC」、そしてフィクスドヘッドクーペ「FHC」の3タイプがラインナップされました。エクステリア面でのXK120に対する最大の相違点は、FHCのキャビンが後方に165mm拡大され、それまでの2シーター仕様から2+2仕様に変更された事でした。
その他の変更点としては、全モデル共通でフロントグリルの縦バーの本数が減らされた事や、バンパーが大型化された事などが挙げられました。ボディサイズは全長4,470mm×全幅1,645mm×全高1,334mmで、XK120から一回り拡大されました。ホイールベースは同一の2,590mmで、車両重量はFHCの場合でXK120より150kg程重い1,295kgとなりました。
又、サスペンション形式はフロント:ダブルウィッシュボーン/トーションバー式・リア:半楕円リーフ式が踏襲された一方で、ステアリング形式はそれまでのリサーキュレーティング・ボール式からラック&ピニオン式に変更されました。又、ブレーキは当時として一般的だった4輪ドラム式が踏襲され、タイヤもXK120と同一の6.00×16サイズが装着されました。
エンジンのアウトプットが大幅に向上
エンジンは、XK120からキャリオーバーされた3.4L 直6DOHC SUツインキャブレター仕様ながら、改良により最高出力が31psアップの193psに、最大トルクは2.2kgmアップの29.1kgmに向上しました。トランスミッションは、オーバードライブ付きとなった他ギアレシオも一新された4速MTが組み合わせられました。
動力性能は、最高速度がXK120より8km/h高い209km/hに、0-60mph加速タイムは0.5s短縮され9.5sになりました。又、更に高性能な「XK140SE」もラインナップされました。こちらはコンペティションモデル「Cタイプ」のシリンダーヘッドを搭載する事により、アウトプットが最高出力213ps/最大トルク29.5kgmまで高められていました。
その他、全モデル共通でエンジンの搭載位置が前方に76.2mm移動された事により、足元スペースの拡大と共に50:50の理想的な前後重量配分が実現しました。こうした様々な改良が施されたXK140であったものの、1957年5月に早くも後継モデル「XK150」が発表された為、生産期間は僅か3年程に留まりました。