ジャガー・カーズは1957年5月、「XK140」の改良型となる2+1シーター仕様FRスポーツカー「XK150」を発表しました。XKシリーズの集大成的なモデルで、エクステリア・デザインがよりモダンな雰囲気にリファインされた他、居住性の改善や装備の充実化、ATの設定などグランツーリスモ的な性格が強められました。
4輪ディスクブレーキを採用
ボディタイプは当初、コンバーチブルの「DHC」(ドロップヘッドクーペ)とクーペの「FHC」(フィクスドヘッドクーペ)の2タイプがラインナップされました。スタイリングは、XK140のイメージを残しながらもほぼフラッシュサイド・フルワイズ化された他、エンジンフードやフロントグリルが拡大され、フロントウィンドウに曲面1枚ガラスが採用されるなど多くの変更が加えられました。
ボディサイズは全長4,500mm×全幅1,640mm×全高1,370mm(DHC)/1,400mm(FHC)で、XK140から全長と全高が若干拡大されました。ホイールベースは同一の2,590mmで、車両重量はやや増加しDHCの場合で1,358kgとなりました。又、フロント:ダブルウィッシュボーン式/リア:半楕円リーフ式のサスペンション形式や、ラック&ピニオン式のステアリング形式はXK140と共通でした。
エンジンは、当初XK140SEから受け継がれた3.4L 直6DOHC SUツインキャブレター仕様(最高出力213ps/最大トルク29.9kgm)が搭載されました。トランスミッションはオーバードライブ付4速MT又はボルグワーナー製3速トルコン式との組み合わせで、前者は最高速度200km/hの性能でした。又、ブレーキはそれまでの4輪ドラム式から4輪ディスク式にアップグレードされました。
ロードスターを追加
一方、引き続き設定される「SE」仕様は、それまでと異なりエンジンのチューンナップは施されない一方で、ワイヤーホイールやデュアルエグゾーストシステム、フォグランプが装備されるなど豪華な仕様となっていました。そして1958年3月、3.4Lエンジンのアウトプットを最高出力253ps/最大トルク33.1kgmまで高めて搭載、最高速度212km/hの性能を持つ「S」仕様が追加されました。
それと同時に、XK120/140時代に設定のあった2シーター・オープンモデル「ロードスター」がラインナップに加わりました。グレードは、XK140と同一チューニングの3.4Lエンジン(最高出力193ps/最大トルク29.1kgm)を搭載し4輪ドラムブレーキが備わる標準仕様、213ps版エンジンを搭載し4輪ディスクブレーキが備わるSE仕様、そして前述のS仕様の3タイプが用意されました。
更に翌1959年10月にはエンジンの排気量が3.8Lに拡大され、アウトプットが標準/SE仕様で最高出力223ps/最大トルク33.1kgm、S仕様で最高出力269ps/最大トルク36kgmとなりました。これにより、最高速度はS仕様で227km/hまで向上しました。そして1960年10月をもって全車生産を終了、翌年発表された「Eタイプ」がその後を継ぎました。