フェラーリは2009年8月のフランクフルト・モーターショーで、「F430」の後継モデルとなる「458イタリア」を発表しました。F430からプラットフォームやパワートレインが一新されると共に、車両重量の軽量化や新たな電子デバイスの採用など、総合的なパフォーマンス向上が図られました。日本では翌2010年5月に初公開され、同年7月からリリースが開始されました。
オープンボディのスパイダーも用意
ボディのデザインはF430同様ピニンファリーナの手により行われ、スタイリングは切れ長のヘッドランプやうねるようなリアフェンダーラインなど、よりインパクトあるものとなりました。ボディタイプは発売時はクローズド・ボディのベルリネッタのみであったものの、2011年のフランクフルト・モーターショーでリトラクタブル・ハードトップを採用した「458スパイダー」が発表されました。
ボディサイズは全長4,527mm×全幅1,937mm×全高1,213mm(イタリア)/1,211mm(スパイダー)で、F430と大差ないディメンションが維持されました。一方、ホイールベースは50mm長い2,650mmとなり、車両重量はイタリアがF430より70kg軽い1,380kg、スパイダーがF430スパイダーより90kg軽い1,430kgとなりました。
MT/セミATに代わりDCTを採用
ミッドに搭載されるV8エンジンは排気量が0.2L大きい4.5Lの直噴仕様となり、スペックは最高出力で79HP、最大トルクで7.7kgm上回る562HP/9,000rpm・55.1kgm/6,000rpmとなりしました。トランスミッションは、F430の6速MT及び6速セミATに代わり7速DCTが採用されました。ベルリネッタのパフォーマンスは、F430から最高速度が10km/hアップの325km/h、0-100km/h加速は0.6s短縮され3.4sとなりました。
一方スパイダーは、最高速度がそれより5km/h低くなるものの、0-100km/h加速は同一タイムでした。サスペンションは新設計され、F430の4輪ダブルウィッシュボーン式に対しリアがマルチリンク式に変更されました。同時に、磁性流体を使用したショックアブソーバー「マグネティックライド」が採用された他、タイヤも専用開発された物が装着されました。
高性能版のスペチアーレを追加
F430に引き続いて採用された電子制御ディファレンシャル「E-Diff」と、新たに備わったトラクションコントロール「F1-Trac」を統合制御する事で、一段と優れた操縦安定性を実現していました。そして2013年に、ベルリネッタをベースに4.5L V8ユニットの最高出力を597HPまで高め、車両重量を1,290kgに軽量化した限定モデル「458スペチアーレ」が発売されました。
ベースモデルとの相違点はそれだけに留まらず、ボディの前後に「可変エアロダイナミクス」が装備されダウンフォースの最適化が図られた他、電子制御トルク分配機能の「SSC」が装備され限界域でのコントロール性が改善されました。パフォーマンスは、最高速度は不変ながら0-100km/h加速が3sに短縮されました。次いで2014年には、スパイダーをベースに同様の変更を加えた限定モデル「458スペチアーレA」が発売されました。