フォルクスワーゲンの子会社として1998年にフランスに設立された自動車メーカー、ブガッティ・オトモビルは、2016年3月に開催されたジュネーブ・ショーにおいて、2005年にリリースした「ヴェイロン」の後継モデルとなる新型2シーター・スーパースポーツ「シロン」を発表しました。1500psに達するハイパワーエンジンを搭載し、ヴェイロンをしのぐ性能を実現したモデルとなっています。
個性的なスタイリング
CFRP(炭素繊維強化プラスチック)やマグネシウムといった軽量素材を多用したボディのバリエーションは、フィクスドヘッドの2ドア・クーペのみの設定で、現時点ではヴェイロンに用意されていたタルガトップ風オープンモデルの発売予定は告知されていません。スタイリングは馬蹄形のフロントグリルを踏襲しながらも、ヴェイロンから全面的な刷新が図られました。
8灯式のヘッドランプや、より強調された「ブガッティライン」と呼ばれるCの文字をかたどったボディ側面のモチーフ、初代ブガッティ社の往年の名車「T57アトランティック」にオマージュを捧げた独特なルーフラインが採用されるなど、ヴェイロンとは一味異なる個性的なエクステリアとなっています。Cd値は0.38で、ヴェイロンのクーペ版「スーパースポーツ」の0.348から若干悪化しました。
ボディサイズは全長4,544mm×全幅2,038mm×全高1,212mmで、ヴェイロンから若干拡大された一方、2,711mmのホイールベースは実質的に同一となっています。車両重量は1,995kgで、ヴェイロン・スーパースポーツから150kgほど増加しました。駆動方式は、ミッドシップレイアウト+フルタイム4WD方式が踏襲されました。
最高速度420km/hの性能を実現
エンジンはヴェイロン譲りの8L W16DOHC64バルブ4連ターボチャージド仕様で、ターボチャージャーは発進時に2基が、3,800rpmに達すると残りの2基が作動するシステムとなっています。最高出力1,500ps/6,700rpm・最大トルク163.2kgm/2,000-6,000rpmのアウトプットを絞り出し、ヴェイロン・スーパースポーツとの比較では最高出力で300ps、最大トルクで9.8kgm勝るものとなっています。
トランスミッションはヴェイロン同様7速DCTが組み合わせられ、そのパフォーマンスは最高速度がヴェイロンから5km/hアップの420km/h(※リミッター作動)、0-100km/h加速タイムは同一の2.5sとなっています。いずれも、ロードカーとして世界最速を誇ります。ブレーキはフロントに420mm、リアに400mmの大径ディスクローターが備わる4輪ベンチレーテッド・ディスク式が装備されます。
また、タイヤはフロントに285/30ZR20が、リアに355/25ZR21が装着されています。販売台数は500台限定で、日本においては2016年11月に発表が行われました。