1987年にイタリアに設立された自動車メーカー、ブガッティ・アウトモビリSpAは、1991年に初の市販モデルとなるスーパーカー「EB110GT」を発表しました。初代ブガッティ社の創設者であるエットーレ・ブガッティの生誕110年を記念して命名されたこのモデルは、ロードカーとして世界トップレベルの性能を誇りました。
車体にCFRPやカーボン素材を採用
車体の構造はCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製のシャシーとカーボン製モノコックボディシェルの組み合わせで、ボディパネルにはアルミニウムが採用されました。ボディタイプはフィクスドヘッドの2ドア・クーペのみの設定で、エクステリア・デザインはマルチェロ・ガンディーニの原案をベースに修正を加えたものが採用されました。
そのスタイリングは、ウェッジシェイプのベルトラインと曲面ガラスで構成されたキャノピーが特徴でした。また、ヘッドランプはプレクシガラスで覆われた角型固定4灯式で、リアには可変式のスポイラーが装備されていました。ボディ・ディメンションは全長4,400mm×全幅1,940mm×全高1,125mm、ホイールベース2,550mmでした。
リヤミッドシップ+フルタイム4WDを採用
競合モデルのひとつである「ランボルギーニ・ディアブロ」と比較すると、全高をのぞき一回りコンパクトなものでした。一方、車両重量はそれよりも若干重い1,618kgでした。駆動方式はフルタイム4WDで、エンジンは排気量3.5LのV12DOHC60バルブ・4連ターボチャージャー仕様が車体ミッドに縦置きで搭載されました。
スペックは最高出力560ps/8,000rpm・最大トルク63kgm/3,750rpmで、6速MTとの組み合わせにより最高速度342km/h・0-100km/h加速3.46sのパフォーマンスを発揮しました。5.7L V12DOHC NAエンジン(最高出力499ps/最大トルク59.1kgm)を搭載するディアブロと比較すると、最高速度で16km/h勝り、静止から100km/hまで0.6sほど速く到達しました。
サスペンション形式は4輪ダブルウィッシュボーン式で、ステアリング形式はロック・トゥ・ロック2.8回転のパワーアシスト付ラック&ピニオン式が採用されました。また、ブレーキは前後とも332mm径のディスクローターが備わるベンチレーテッド・ディスク式(ABS付)で、ホイール&タイヤはフロントに9J×18インチホイール+245/40ZR18タイヤが、リアに12J×18インチホイール+325/30ZR18タイヤが装着されました。
さらなる高性能版を追加
そして翌1992年に、エンジンのアウトプットを最高出力600ps/8,250rpm・最大トルク65kgm/4,000rpmまで高めて搭載し、固定式のリアスポイラーを採用した「SS(スーパースポーツ)」が追加されました。パフォーマンスは、最高速度350km/h・0-100km/h加速3.35sまで向上を果たしていました。
そして1995年、ブガッティ・アウトモビリSpAの経営破綻にともない、生産終了となりました。