フォルクスワーゲンのコンパクトカー「ザ・ビートル」は、1998年から2010年に掛けて生産された「ニュービートル」同様、初代「ビートル(タイプⅠ)」のスタイリングをモチーフとするパイクカーとして2011年に欧州でデビューし、日本においては2012年4月から販売が開始されました。ニュービートルよりも乗用車としての様々な基本性能がアップし、パイクカーながら完成度の高いモデルとなっています。
ボディは初代ビートルやニュービートル同様3ドアのみの設定で、まずクーペが発売されました。全体的なプロポーションはニュービートルに類似した雰囲気を踏襲しながらも、より伸びやかでスタイリッシュに変貌しています。ボディサイズは全長4,270mm×全幅1,815mm×全高1,495mmで、ニュービートルよりも全長が140mm、全幅が80mm拡大され、全高は5mm低いディメンションになりました。
日本仕様は最小排気量エンジンから導入
ホイールベースは20mm長い2,435mmで、車両重量はニュービートルの2L車と同一の1,280kgになっています。駆動方式はニュービートル同様FFで、欧州仕様のエンジンは2L/1.6L/1.4L/1.2Lのガソリンターボと2L/1.6Lのディーゼルターボの計6種類がラインナップされます。日本仕様はその内一番排気量の小さい1.2L直4ガソリンターボ(最高出力105ps/5,000rpm・最大トルク17.8kgm/1,500~4,100rpm)が導入されました。
トランスミッションは欧州向けには6速MTの設定もあるものの、日本仕様は7速DSG(DCT)が組み合わせられます。エンジンのスペックはニュービートル1.6L車を3ps/2.7kgm上回り、燃費は約5割改善されました。サスペンション形式は、プラットフォームを共有する「ジェッタ」と同様の前:マクファーソンストラット式/後:トレーリングアーム式となります。
カブリオレとターボを追加
インテリアは、曲線的デザインのインパネを採用したニュービートルに対し、水平基調のスッキリしたデザインに一新された他、インパネ上部の奥行が大幅に短くなり視界が改善されました。グレード体系は、「デザイン」と「デザインレザーパッケージ」の2種類でスタートしました。そして翌6月に、欧州で既に販売されていた電動ソフトトップ仕様の「カブリオレ」が日本でも発売になりました。
搭載されるエンジンはクーペと同様で、車両重量は100kg増加したものの燃費はクーペと同一の数値でした。次いで同年10月に、6代目「ゴルフGTI」譲りの2L直4TSIターボエンジン(最高出力211ps/5,300~6,200rpm・最大トルク28.6kgm/1,700~5,200rpm)と6速DSGを搭載し、専用の内外装を備えるスポーティなクーペモデル「ターボ」が追加されました。そして2015年7月、クーペに廉価グレード「ベース」が追加設定されました。