富士重工業は2001年8月、提携関係にあった米国GM社からのOEM供給によるミニバン「スバル・トラヴィック」を発売しました。1999年に欧州で発売された独オペル社「ザフィーラ」のスバル版であり、搭載エンジンとエンブレム、装備の一部が異なるのみの同一車種でした。当時ヤナセより輸入されていたザフィーラと比較すると、大幅に安価な価格設定が行われていた事が特徴でした。
ザフィーラより大排気量のエンジンを搭載
ボディタイプはオールヒンジ式ドア採用の5ドアハッチバックで、室内は2-3-2シート配列の7人乗り・右ハンドル仕様でした。ボディサイズは全長4,315mm×全幅1,740mm×全高1,630mm(ルーフレール無し)/1,675mm(ルーフレール付き)、ホイールベースは2,695mmで、ルーフレール装着車は日本仕様ザフィーラ(ルーフレール標準装備)と同一のスペックでした。
初期モデルの車両重量は1,460~1,480kgで、後述するエンジンの相違によりザフィーラよりも40~60kg重くなっていました。サスペンション形式はフロントがマクファーソンストラット式、リアがトレーリングアーム式で、駆動方式はFFのみの設定でした。エンジンはザフィーラの1.8L直4DOHCに対し、2.2L直4DOHC(最高出力147ps/最大トルク20.7kgm)が搭載されました。
スバル トラヴィックのCM
充実した安全装備
トランスミッションはザフィーラ同様、停車時に自動的にNレンジに切り替わる「ニュートラルコントロールシステム」が備わるフロア式4速トルコンATが組み合わせられました。安全装備面では、ザフィーラ同様全車にSRSデュアルエアバッグシステムやEBD付きABS、トラクションコントロールなどが採用された他、盗難防止システムとして全車にエンジンイモビライザーが装備されました。
当初のグレード体系はモノグレードを基本に、エアロパーツやスポーツサスペンション、16インチアルミホイールなどが装備される「Sパッケージ」と、SRSサイドエアバッグシステムやアクティブヘッドレスト、15インチアルミホイールなどが装備される「Lパッケージ」が設定されました。
そして2002年10月、ボディカラーに新色が追加されると共にグレード体系が見直され、従来のベースグレード相当車が「Cパッケージ」となり、Lパッケージはエアロパーツや16インチアルミホイールなどが追加装備された「SLパッケージ」に変更されました。次いで2003年7月に、フロントグリルやリアコンビネーションランプの意匠が変更されたマイナーチェンジ版が導入されました。
M/Cと共に1.8L車を追加
又、インテリア面ではワイパーレバーとウインカーレバーの位置が入れ替えられ、国産車と同様のレイアウトになりました。同時に、ザフィーラ同様の1.8L直4DOHCエンジンを搭載するエントリーグレード「Aパッケージ」が追加されました。エンジンのスペックは最高出力125ps/最大トルク17.3kgmで、ザフィーラよりも最高出力が10ps高く設定されていました。
そして2004年11月、供給元であったGMタイ工場でのザフィーラの生産が終了となった為、トラヴィックの販売は在庫分のみとなり、2005年3月を持ってスバルのラインナップから消滅しました。