スズキ自動車は1998年10月、新軽自動車規格に対応した新型軽乗用車「Kei」を発売しました。軽自動車として初のクロスオーバー型モデル(ちなみにダイハツ ネイキッドは99年11月発売)で、プラットフォームやパワートレインは同月デビューした軽セダン/バンの5代目「アルト」と共通でした。セミトール型ボディにより比較的優れた居住性が備わる事や、大径タイヤ採用による悪路走破性の高さなどから一定の人気を獲得しました。
アルトより背の高いディメンション
ボディタイプは当初3ドアハッチバックのみが設定され、ボディサイズは全長3,395mm×全幅1,475mm×全高1,545~1,595mmで全長・全幅は新規格いっぱいの大きさとなる他、全高はアルトよりも100mm以上高く設定されました。ホイールベースはアルトと共通の2,360mmで、車両重量は50kg以上重い700~770kgでした。
サスペンション形式は、アルト同様のフロント:マクファーソンストラット式/リア:I.T.L式が採用され、駆動方式も同様にFFとフルタイム4WDが設定されました。エンジンは当初660cc直3のF6A型3種類が用意され、最高出力/最大トルクはDOHC NA仕様が55ps/6.2kgm、SOHCターボ仕様が60ps/8.5kgm、DOHCターボ仕様が64ps/10.8kgmでした。
トランスミッションはNA及びSOHCターボに5速MTと3速トルコン式ATが、DOHCターボに5速MTと4速トルコン式ATが設定されました。グレード体系は、当初NAエンジン搭載の「C」、SOHCターボエンジン搭載の「G」「X」、DOHCターボエンジン搭載の「S」の4タイプがラインナップされました。そして1999年3月に、5ドアハッチバックが追加されました。
グレードはG/X/Sの3タイプで、ATは全車4速仕様でした。追って同年10月、5ドア車にエントリーグレード「E」が追加されると共に、Eを除く全車にSRSデュアルエアバッグシステムが標準化されました。同時に、NAエンジン車及び3速AT車が廃止されました。次いで2000年10月のマイナーチェンジにより、フェイスリフトが実施されると共に3ドアハッチバックが廃止されました。
スズキ KeiのCM
新車情報’98 スズキ Kei
ローダウン仕様のKeiスポーツを追加
同時に、5ドアハッチバック車もグレードが整理されG/Eの2タイプとなった他、E・FF車のエンジンが新開発された直3DOHCのK6A型NA仕様(最高出力55ps/最大トルク6.3kgm)に置換されました。又、新たにエアロパーツやローダウンサスペンションを装備する「Keiスポーツ」(SOHCターボのスポーツFとDOHCターボのスポーツの2タイプ)が追加されました。
次いで2001年4月、標準車にビレット調フロントグリルなどが備わる「DJ」が追加されると共に、Keiスポーツには装備を簡略化し軽量化を図った「スポーツR」が追加され、スポーツFは廃止されました。次いで同年11月に一部改良が実施され、エンジンが全車K6A型に置換されました。
NAの他に過給圧の異なる2種類のターボが設定され、最高出力/最大トルクはNAは従来から変更され54ps/6.4kgmとなり、ターボは60ps/8.5kgm及び64ps/10.8kgmでした。グレード体系は、標準車はSRSデュアルエアバッグシステムが標準化されたNAエンジン搭載のEと、低圧過給型Mターボエンジン搭載の「N-1」の2タイプとなり、KeiスポーツはスポーツRが廃止されモノグレードとなりました。
ホットモデルのKeiワークスを追加
次いで2002年11月の一部改良で内外装デザインが変更されると同時に、専用の内外装が備わる高圧過給型ターボエンジン搭載のホットモデル「Keiワークス」が発売されました。続いて2003年9月の一部改良の際にグレード体系が変更され、標準車はNAエンジン搭載の「A」とMターボエンジン搭載の「Bターボ」の2タイプとなった他、Keiスポーツは廃止になりました。
次いで2006年4月の一部改良で装備の充実化や標準車のフェイスリフトが実施され、翌2007年6月の一部改良ではBターボのエンジンが高圧過給型に置換されました。そして2009年9月に全車販売終了となり、Keiの車名はスズキのラインナップから消滅しました。