アウディAGは1990年、初代モデルを1968年にリリースしたプレステージモデル「アウディ・100」に8年ぶり3度目のフルモデルチェンジを実施し、4代目C4系に移行させました。先代同様に空力特性向上に注力された他、同社初のV6エンジン搭載車が設定された事がトピックとなりました。
先代から居住性が向上
ボディタイプは先代同様、4ドアセダンと5ドアワゴンの「アヴァント」がラインナップされました。スタイリングは、先代では正面から見ると上すぼまりだったサイドパネルが垂直に近くなり、居住性の向上が実現ました。それと同時に、Cd値は先代より0.1ポイント低い0.29となりました。又、アヴァントはテールゲートが垂直に近くなり、一般的なワゴンと同等のプロポーションになりました。
ボディサイズは全長4,892mm×全幅1,778mm×全高1,430~1,448mmで、先代から全長・全高が拡大された一方、全幅は縮小されました。ホイールベースは僅かに延長され、2,687~2,692mmとなりました。サスペンション形式はフロント:マクファーソンストラット式/リア:トレーリングアーム式が踏襲され、駆動方式も先代同様FFとフルタイム4WD「クワトロ」が設定されました。
エンジン・ラインナップは、ガソリンは2L直4SOHC 8V NA(最高出力100ps/115ps)、同DOHC16V NA(最高出力140ps)、2.2L直5DOHCターボ(最高出力230ps)、2.3L直5SOHC NA(最高出力133ps)、2.6L V6SOHC NA(最高出力150ps)、2.8L V6SOHC NA(最高出力174ps)が、ディーゼルは2.4L直5SOHC NA(最高出力81ps)と2.5L直5SOHCターボ(最高出力115ps)が用意されました。
M/Cにより車名を「A6」に変更
トランスミッションは、5速/6速MTとZF製の4速トルコン式ATが設定されました。又、安全装備は当初先代後期型に引き続き、衝突時にステアリングを前方に引き込む「プロコン-テン」と呼ばれる同社独自のシステムが採用されました。その後、1994年のマイナーチェンジにより車名が「A6」に変更され、26年に及んだ100の歴史に終止符が打たれました。
日本市場においては、1991年11月にヤナセの手によりセダン「2.3E」とセダン/アヴァント「2.8E」の導入が開始されました。前者は2.3Lガソリンエンジン(最高出力130ps/最大トルク18.9kgm)、後者は2.8Lガソリンエンジン(最高出力170ps/最大トルク25.5kgm)を搭載し、共に駆動方式はFFで、トランスミッションは4速ATとの組み合わせでした。
翌1992年にはヤナセとの提携関係が解消され、ファーレン店及びデュオ店にて販売されるようなりました。次いで1993年11月に導入されたモデルからプロコン-テン・システムが廃止され、代わって運転席SRSエアバッグシステムが採用されました。