日産自動車は1982年1月、ハイオーナーカー「ローレル」の弟分的な存在となる小型乗用車「ローレルスピリット」を発売しました。前年に通算5代目にフルモデルチェンジした大衆車「サニー」とプラットフォームやボディシェル、パワートレインなどの基本コンポーネンツを共通する姉妹車種の関係にありながらも、上質感を演出したエクステリアの採用により差別化が図られました。
ボディは4ドアセダンのみ
ボディタイプは、クーペやステーションワゴンなど多彩なバリエーションを誇ったサニーと異なり、4ドアセダンのみのラインナップでした。スタイリングは基本的にサニー・セダンと共通ながら、フロントグリルにはローレルを彷彿とさせるデザインが採用されました。ボディサイズは全長4,050mm×全幅1,620mm×全高1,390mm、ホイールベースは2,400mmでした。
サニー・セダンとの比較においては、全長が若干短い事を除けば同一のディメンションでした。サスペンション形式もサニーと共通で、フロント:マクファーソンストラット式/リア:トレーリングアーム式による4輪独立懸架が採用されました。駆動方式もサニー同様FFで、エンジンは当初1.5L直4SOHCガソリンNAのE15型のみが用意され、サニーに設定のあった1.3LのE13型は用意されませんでした。
ローレルスピリットのCM
最高出力/最大トルクは、電子制御キャブレター仕様のE15S型が85ps/12.3kgm、EGI仕様のE15E型が95ps/12.5kgmで、トランスミッションは4速/5速MTと3速トルコン式AT「ニッサマチック」が設定されました。当初のグレード体系は、下からE15S型エンジン搭載の「LT」「LT-G」「LF」「XJ」とE15E型エンジン搭載の「XJ-E」の全5タイプがラインナップされました。
ターボ車とディーゼル車を追加
装備面では、LF/XJ/XJ-Eにランバーサポートシートや電動リモコンミラーが、XJ/XJ-Eにタコメーターが、XJにパワーステアリングが採用されました。そして翌1983年1月、E15E型にターボチャージャーを装着したE15ET型エンジン(最高出力115ps/最大トルク17kgm)を搭載するスポーティグレード「ターボXJ」が追加になりました。
次いで同年11月のマイナーチェンジでフロントグリルとリアコンビネーションランプの意匠が変更されると同時に、1.7L直4SOHCディーゼルNAのCD17型エンジン(最高出力61ps/最大トルク10.6kgm)搭載車が追加されました。続いて1985年1月の一部改良で、E15ET型エンジンのタービンの冷却方式が水冷式に変更されました。
追って同年11月に「エクストラ」シリーズが追加された後、翌1986年8月にフルモデルチェンジが実施され、2代目B12型に移行しました。