ロータスは2006年6月に、新型2シーターミッドシップモデル「ヨーロッパS」を発売しました。初代「ヨーロッパ」が1975年に生産終了となって以来31年ぶりの車名復活となったものの、ひたすら走行性能を追い求めたライトウエイトスポーツ路線だった初代モデルや「エリーゼ」などとは異なり、快適性を追求したグランツーリスモ的な性格の強いモデルでした。
エンジンはGM製2Lターボ
車体の基本構造は、アルミ押し出し材を用いたシャシーに複合素材によるボディを架装したもので、GTカーとはいえロータス車らしく軽量化が図られていました。サスペンション形式はエリーゼと同様4輪ダブルウィッシュボーン式で、ブレーキも同様に4輪ベンチレーテッドディスクが採用されました。スタイリングはエリーゼの流れを汲むものながら、テールゲートが設けられ3ドアとされました。
ボディサイズは全長3,920mm×全幅1,745mm×全高1,130mmで、エリーゼよりも一回り大きく、ホイールベースは30mm長い2,330mmでした。車両重量は100kg以上重い995kgとなったものの、絶対的には十分に軽量といえるものでした。搭載されたエンジンは、オペルの「スピードスター・ターボ」や「アストラ・ターボ」に採用されていたGM製2L直4DOHCターボでした。
初期型のスペックは最高出力200ps/5,400rpm・最大トルク27.7kgm/5,000rpmで、6速MTを介しての動力性能は最高速度230km/h、0-100km/h加速5.8s、0-400m加速13.8sという第一級のものでした(データは北米仕様)。一方インテリア面では、サイドシルがエリーゼよりも40mm低く設定され乗降性が改善された事や、より広いラゲッジスペースが備わる事が特徴でした。
ロータス ヨーロッパ Sのドライビングインプレッション
豪華な内装が特徴
又、インパネは基本的にエリーゼと同一のデザインを踏襲するものの、内装がフルレザー仕様にアップグレードされると共にカーペットが備わるなど、より豪華な仕様となりました。又、エアコンや集中ドアロック、SRSデュアルエアバッグシステムを採用し、装備面でもグランツーリスモの名に恥じない充実したものになっていました。そして翌2007年6月に、上級グレード「LX」が追加されました。
シートを含め内装が高級レザー仕様となる他、クルミ材とユリノキ材を採用したシフトノブやエンジンスタートボタン、ティンテッドリアガラスなどが採用された他、外装も一部変更されました。次いで2008年3月に、このLXをベースにエンジンのスペックを最高出力225ps/5,750rpm・最大トルク29.3kgm/4,500rpmまで高めると共に、ドリルドディスクブレーキを採用した「225」が発売されました。
続いて2010年1月にグレード体系が変更され、再びベースグレードとLXの2グレードとなりました。そして同年、総生産台数456台をもって生産終了となりました。
往年のライトウェイト:ロータス ヨーロッパ