ボルボ・カーズは1966年8月、新世代の中型セダン「140シリーズ」を発表しました。同社のセダンとしては1956年にリリースされた「アマゾン/120シリーズ」以来10年ぶりのニューモデルで、スタイリングが一新されると共に、2系統システム採用の4輪ディスクブレーキや衝撃吸収式ステアリングコラムなど、先進的な安全装備が導入された事が特徴でした。
ボクシーなフォルムに
ボディタイプは、当初は「144」及び「144S」のモデル名を持つ4ドアセダンのみの設定でした。スタイリングは、それまでの同社製モデルの特徴であった丸みを帯びたフォルムから一転、直線基調のボクシーなフォルムに変貌しました。ボディサイズは全長4,650mm×全幅1,727mm×全高1,448mmで、アマゾン/120シリーズより一回り大きくなりました。
一方、2,600mmのホイールベースは同一でした。サスペンション形式は、フロントはウィッシュボーン/コイル式を踏襲し、リアはそれまでの同社製モデルの定番であったリジッドアクスル/コイル式から、トレーリングアーム/コイル式に変更されました。駆動方式はFRを踏襲し、エンジンはアマゾン/120シリーズにも搭載される1.8L直4OHVのB18系が採用されました。
バリエーションを拡大
144にはシングルキャブレター仕様のB18A型(最高出力85ps)が、144Sにはツインキャブレター仕様のB18B型(最高出力115ps/)が搭載され、トランスミッションは4速MTの他に3速トルコン式ATがオプション設定されました。そして翌1967年6月に2ドアセダン「142」が、追って1968年3月に5ドアステーションワゴン「145」がラインナップに加わり、バリエーションが完成しました。
更に145の登場と同じ1968年に、エンジンが2L直4OHVシングルキャブレター仕様のB20A型(最高出力90ps)及び同ツインキャブレター仕様のB20B型(最高出力115ps)に置換されました。又、この年の秋に144をベースにフロントマスクの意匠を変更し、大排気量直6エンジンを搭載した上級モデル「164」がリリースされました。
次いで1971年の仕様変更により、ラバー付バンパーやシートベルト警告灯の採用など安全装備の強化が図られました。同時に142の新グレードとして、出力を高めたシングルキャブレター仕様エンジンB20D型(最高出力105ps)を搭載する「DL」と、ボッシュ電子燃料噴射仕様エンジンB20E型(最高出力130ps)を搭載する「GL」が追加されました。
次いで1974年、アメリカの新安全基準に対応する為バンパーが大型化された後、同年秋にビッグマイナーチェンジ版の「240シリーズ」にバトンタッチして生産終了となりました。