イギリスの高級スポーツカーメーカーであるアストンマーティン・ラゴンダは、2009年のジュネーブ・ショーにおいて新型スーパーカー「One-77」を発表、翌2010年に台数限定による生産が開始、2011年から納車が開始されました。カーボンモノコック構造の専用プラットフォームや新開発のパワートレインが採用され、同社製モデル随一の高い走行性能を誇りました。
フロントミッドシップレイアウトを採用
ボディタイプは、2ドア・2シーター仕様のフィクスドヘッド・クーペのみの設定でした。ハンドメイドにより製造されるアルミボディのスタイリングは、量販グランツーリスモの「DB9」や「DBS V12」などの流れを汲みながらも、大きく張り出した前後のフェンダーフレアなどにより遥かにレーシーかつ迫力溢れるムードを醸していました。
ボディサイズは全長4,601mm×全幅2,000mm×全高1,222mmで、他のアストンマーティン車よりもワイド&ローなディメンションとなっていました。また、ホイールベースはDB9/DBS V12よりも50mmほど長い2,791mmに設定されました。車両重量は、それらのモデルよりも遥かに軽い1,630kgに抑えられていました。
駆動方式はコンベンショナルなFRを踏襲しながらも、フロントミッドシップレイアウトの採用により前後重量配分が改善されていました。同時にエンジン搭載位置が100mm低められ、低重心を実現したことも特徴でした。エンジンは、同社の多くのモデルに採用される5.9L V12DOHCをベースに、コスワースとの共同開発により生み出された7.3L V12DOHCが搭載されました。
350km/hオーバーの最高速度を実現
アウトプットは最高出力760ps/最大トルク76.5gmで、市販車に搭載されるNAエンジンとしては世界最強を誇りました。トランスミッションは、パドルシフト式の6速AMT(シングルクラッチ式2ペダルMT)が組み合わせられました。そのパフォーマンスは、最高速度354km/h・0-100km/h加速3.7sという極めて優れたものでした。一方で環境性能は低く、CO2排出量は572CO2g/kmに達しました。
サスペンション形式は4輪ダブルウィッシュボーン式で、ダンパーは「DSSV」と呼ばれる減衰力可変式が装備されました。ブレーキは、フロントに398mm径、リアに360mm径のディスクローターが備わるカーボンセラミックタイプの4輪ベンチレーテッドディスクブレーキが採用されました。
タイヤサイズはフロントが255/35ZR20、リアが335/30ZR20で、銘柄は専用開発された「ピレリPゼロコルサ」が採用されました。また、ステアリング形式はロック・トゥ・ロック3回転のラック&ピニオン式でした。販売価格は、日本円でおよそ1億6千万円でした。生産が打ち切られた2012年までの総生産台数は、僅か77台でした。