フェラーリは2007年9月に開催されたフランクフルト・モーターショーにおいて、ミッドシップレイアウトの2シーター・スポーツカー「F430」をベースに高性能化を図った「430スクーデリア」を発表しました。大幅な軽量化を実現したボディにハイパワーなエンジンを搭載するモデルで、開発にはミハエル・シューマッハが深く関わっていました。
100kgの軽量化を実現
ボディタイプはF430同様フィクスドヘッドの2ドアクーペで、素材にはカーボンファイバーが多用されました。エクステリア・デザインは基本的にF430のイメージを踏襲しながらも、ダウンフォースを高めるため専用デザインのエアインテークが採用されたほか、ラジエーター用サイドベントは大型化と同時に形状が変更されました。
ボディ・ディメンションは全長4,512mm×全幅1,923mm×全高1,199mm、ホイールベース2,600mmで、F430から全高が15mm低められました。また、車両重量はそれよりも100kg軽い1,295kgとなっていました。エンジンは、F430譲りの4.3L V8DOHC32バルブNAにチューンナップを施したものが搭載されました。
スペックは最高出力510ps/8,500rpm・最大トルク47.9kgm/5,250rpmで、F430の最高出力490ps/8,500rpm・最大トルク47.4kgm/5,250rpmから20ps/0.5kgmの向上を果たしていました。トランスミッションは、シングルクラッチ式6速セミATの最新版「F1スーパーファスト2」が組み合わせられました。また、電子制御ディファレンシャルの「E-Diff」が採用されたことも特徴でした。
専用のブレーキを採用
パフォーマンスは、最高速度はF430と同等の320km/hとなるものの、0-100km/h加速タイムは0.4s短縮され3.6sとなっていました。サスペンション形式はF430と共通の4輪ダブルウィッシュボーン式で、ブレーキはカーボンセラミックシステム「CCM3」を採用した専用設計の4輪ベンチレーテッド・ディスク式(フロント:398mm径/リア:350mm径)が装備されました。
また、タイヤサイズはフロントが235/35 19、リアが285/35 19で、F430に対しフロントがワイド化されていました。そのほか、走行性能に係る装備として、車両安定化制御システムとトラクションコントロールシステムを統合した「CST」や、状況に応じた走行モードを選択できる「レーシング・マネッティーノ」が採用されました。
一方インテリアは、カーボンファイバー製のドアパネルやセンタートンネル、フルカーボン製の専用シート「スーパー・レーシング」が採用されました。日本市場においては、2008年5月に初上陸を果たしました。日本仕様車には、「レーシング・ストライプ」や「カラード・ブレーキ・キャリパー」などが標準装備されました。