光岡自動車は1993年1月、2代目「日産・マーチ」をベースとしたコンパクトカー「ビュート」を発売しました。マーチからプラットフォームや基本コンポーネンツ、ボディシェルの大半を流用しながらも、フロントまわりとリアまわりの造形変更により往年のイギリスの名車「ジャガーMk2」を彷彿とさせるイメージに仕立てられました。
マーチから全長を大幅に延長
ボディタイプは、当初は3ボックス型4ドアセダンのみの設定でした。エクステリアは縦型のフロントグリルと左右のスパンの狭い丸型2灯式ヘッドランプを配したフロントマスクや、縦配列の丸型4灯式テールランプ、スチール製の前後バンパーといったクラシカルなディテールが特徴でした。ボディサイズは全長4,250mm×全幅1,640mm×全高1,425mmで、マーチから全長が500mm以上延長されました。
一方でホイールベースは同一の2,360mmであったため、前後のオーバーハングの長いプロポーションとなりました。サスペンション形式は、マーチ同様のフロント:マクファーソンストラット式/リア:5リンク式が踏襲されました。駆動方式もマーチ同様FFで、エンジンはマーチ譲りの1L直4DOHC(最高出力58ps/最大トルク8.1kgm)および1.3L直4DOHC(最高出力79ps/最大トルク10.8kgm)が用意されました。
ボディ・バリエーションを拡充
トランスミッションは1Lには5速MTまたは4速トルコン式ATが、1.3Lには5速MTまたはCVTが組み合わせられました。当初はモノグレード設定で、安全装備としては全車に運転席SRSエアバッグシステムが標準装備されました。その後、1997年に「マーチ・カブリオレ」をベースとした2ドアコンバーチブル版「ビュート・コンバーチブル」がリリースされました。
また、同時に3ドアおよび5ドア版も追加されました。次いで1998年4月のマイナーチェンジでインテリアが一部変更されるとともに、グレードが1Lエンジン搭載の「ベーシック」と1L/1.3Lエンジン搭載の「デラックス」の2タイプとなりました。また、安全装備面では後者に助手席SRSエアバッグシステムとABSが標準化されました。
特別仕様車を設定
続いて2001年1月、1.3Lデラックスのトランスミッションが4速トルコン式ATに変更されました。追って同年12月には、特別仕様車「ファイナルモデル限定車10周年アニバーサリー」がリリースされました。パワートレインは、1Lエンジン+4速トルコン式ATとわずかに排気量が拡大された1.3L直4エンジン(最高出力/最大トルクは同一)+4速トルコン式ATの2種類が用意されました。
次いで2002年11月、新たな特別仕様車として「高級レザー仕様特別限定車」がリリースされました。そして2002年3月にベースモデルのマーチが3代目にフルモデルチェンジされたことにともない、ビュートの新車販売は翌2003年5月をもって打ち切られました。