1974年に初代モデルがデビューしたフォルクスワーゲンのスポーツクーペ「シロッコ」は、1992年に2代目モデルが生産終了となって以来長らくラインナップから途絶えていたものの、2008年に16年ぶりの復活となる3代目モデルが発売されました。プラットフォームやパワートレインなどの基本メカニズムは、主力モデル「ゴルフⅤ」から流用されました。
全車FF方式+ターボエンジンを採用
ボディタイプは、初代及び2代目モデル同様の2+2シーター仕様3ドアハッチバックが踏襲されました。水平基調のフロントマスクとロングルーフのフォルムが備わるボディのサイズは、全長4,256mm×全幅1,810mm×全高1,404mmで、ホイールベースはゴルフⅤと共通の2,475mmでした。サスペンション形式は、ゴルフⅤと同様フロント:ストラット式/リア:4リンク式が採用されました。
駆動方式はゴルフと異なりフルタイム4WDは用意されず、FFのみの設定でした。欧州仕様のエンジンは、当初1.4L直4ターボ(最高出力122ps/最大トルク20.4kgm)、同ツインチャージド(最高出力160ps/最大トルク24.5kgm)、2L直4ターボ(最高出力210ps/最大トルク28.6kgm)のガソリン3種類と、2L直4ディーゼルターボ(最高出力140ps/最大トルク32.6kgm)が用意されました。
トランスミッションは、1.4L車には6速MTと7速DSGが、2Lガソリン/ディーゼル車には6速MTと6速DSGが設定されました。グレード名は、1.4Lエンジン搭載車が「1.4TSI」、2Lガソリンエンジン搭載車が「2.0TSI」、2Lディーゼルエンジン搭載車が「2.0TDI」でした。安全装備面では、全車にSRSデュアル&サイドエアバッグシステムやEBD付ABS、ESP(横滑り防止装置)が採用されました。
ホットモデル「シロッコR」を追加
そして2009年に入ると、1.4Lターボエンジンにアイドリングストップ機構とエネルギー回生機構を追加した「1.4TSI BlueMotion Technology」と、2Lガソリンエンジンのハイチューン版(最高出力268ps/最大トルク35.7kgm)を搭載し、専用の内外装やサスペンション、電子制御式デファレンシャルロック(XDS)が備わるホットモデル「シロッコR」が追加されました。
そして2014年にフェイスリフトが実施され、現在に至っています。日本市場には、まず2009年5月に1.4Lツインチャージドエンジン搭載のTSIと2Lガソリンエンジン(※スペックは最高出力200ps/最大トルク28.6kgmとなる)搭載の2.0TSIの導入が開始されました。次いで2010年2月にR(※スペックは最高出力256ps/最大トルク33.7kgmとなる)が追加されました。
更に2011年8月にTSIをベースに専用の内外装が備わる「Rライン」が、翌2012年2月にRをベースにレカロ製バケットシートなどが装備される特別仕様車「Rレカロ」が、2013年4月にRラインをベースに専用エアロパーツなどが装着される「Rラインディナミッシュ」が追加されました。そしてマイナーチェンジ版の導入を待たず、2014年3月をもって日本国内での販売は終了となりました。