1974年に「カルマンギア・クーペ」に代わる新型スポーツクーペとした誕生した「シロッコ」は、1981年に7年ぶりのフルモデルチェンジが実施され2代目モデルに移行しました。プラットフォームやパワートレインなど基本メカニズムが先代からキャリオーバーされた一方で、スタイリングは大幅なイメージチェンジが図られました。
社内デザインを採用
それまでと同様カルマン社の手により架装されるボディは、先代同様2+2シーター仕様の3ドアハッチバックながら、デザイナーがジウジアーロから社内デザインセンターに変更されました。そのスタイリングは、ややふくよかになったフォルムに加え、角型4灯式ヘッドランプやリアウィンドウを跨ぐように設けられたリアスポイラーの採用などにより、リフレッシュが図られていました。
ボディサイズは全長4,050mm×全幅1,640mm×全高1,305mmで、先代より全長が165mm、全幅が20mm大きく、全高は5mm低いディメンションになりました。ホイールベースは先代と同一の2,400mmで、サスペンション形式もフロント:ストラット式/リア:トレーリングアーム式が踏襲されました。又、ラック&ピニオン式のステアリング形式やフロント:ディスク式/リア:ドラム式のブレーキ形式も先代と同一でした。
駆動方式もFFが踏襲され、エンジンは欧州仕様には
- 1.3L直4SOHCキャブレター仕様(61ps/9.7kgm)
- 1.5L直4SOHCキャブレター仕様(71ps/11.2kgm)
- 1.6L直4SOHCキャブレター仕様(76ps/12.7kgm)
- 1.8L直4SOHCキャブレター仕様(91ps/14.8kgm)
- 1.8L直4SOHCインジェクション仕様(114ps/15.6kgm)
(最高出力/最大トルク)が用意されました。
装備を充実化
トランスミッションは、5速MTと3速トルコン式ATが設定されました。装備面では、電動ドアミラー、サンルーフ、本革シート、パワーウィンドウ、エアコンが用意されるなど、先代から大幅な充実化が図られました。そして1986年には、1.8L直4DOHC16V燃料噴射仕様エンジン(最高出力125ps/最大トルク16.6kgm及び最高出力139ps/最大トルク16.3kgm)搭載車が追加されました。
日本市場には、ヤナセの手によりまず1.7L直4SOHC燃料噴射仕様エンジン(最高出力78ps/最大トルク13.1kgm)を搭載する「GTi」が導入され、1984年にはエンジンが1.8L(最高出力95ps/最大トルク14.5kgm)に置換されると共に仕様向上が図られたマイナーチェンジ版に切り替えられました。次いで翌1985年、導入グレードがエアロパーツが備わる「GTX」に変更されました。
続いて1987年、1.8L DOHC16V仕様エンジン(最高出力130ps)を搭載する「GTX-16V」の導入が開始されました。そして1988年により本格的なスポーツクーペ「コラード」が発売された事を受け、日本での販売は終了となりました。一方、ドイツ本国では1992年まで生産が続けられました。