日産のプレミアム・ミニバン「エルグランド」は、2010年8月に8年ぶり2度目となるフルモデルチェンジを実施し、3代目の現行型となりました。スタイリングはキープコンセプトであるものの、駆動方式やパワートレインの刷新により低床化や燃費向上を実現した他、安全装備や快適装備の充実が図られた実のあるモデルチェンジとなりました。
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ワイド&ローで迫力あるスタイリングに変貌
スタイリングは、セミキャブオーバー型のボディ形状を踏襲しながらも、低くワイドなディメンションに変わった事でスタイリッシュさが増した他、大型フロントグリルの採用により先代以上に迫力ある雰囲気を醸すものとなりました。先代の後期モデル同様全車5ドアで、7人乗り仕様と8人乗り仕様が設定される点は踏襲されました。
ボディサイズは全長4,915mm×全幅1,850mm×全高1,805mm~1,815mmで、先代から全長と全幅が拡大された一方、全高は大幅に下げられました。プラットフォーム刷新に伴い、ホイールベースが50mm延長され3,000mmとなった他、車両重量は80kg程軽量化され1,900kg~2,080kgとなりました。サスペンション形式は、先代同様の前:ストラット式/後:マルチリンク式が踏襲されました。
日産 エルグランドのCM(2010)
パワートレインを刷新し燃費・環境性能がアップ
駆動方式は初代及び先代のFRベースからFFベースに変更され、低床フラットフロアが実現しました。又、「オールモード4×4」と呼ばれるフルタイム4WDが初代及び先代同様に設定されました。エンジンは先代同様2.5L及び3.5Lの2本立てながら、2.5LがV6のVQ25DE型から直4のQR25DE型(最高出力170ps/5,600rpm、最大トルク25kgm/3,900rpm)に置換されました。
又、3.5Lは先代同様V6のVQ35DE型を踏襲するものの、先代比で最高出力が40psアップし、最高出力280ps/6,400rpm、最大トルク35.1kgm/4,400rpmのスペックとなりました。又、トランスミッションが先代の5速トルコン式ATから高効率のマニュアルモード付「エクストロニックCVT」に変わった事と併せて、全車の燃費・環境性能が改善されました。
内装面ではインパネのデザインが一新された他、装備面では11インチリヤモニターやワンタッチオートスライドドアを採用し、SRSサイド&カーテンエアバッグシステムや全席にヘッドレストと3点式シートベルトを標準装備するなど、快適・安全装備が大幅に充実しました。グレード体系は、上から「ハイウェイスタープレミアム」「ハイウェイスター」「XG」、及び特別仕様車の「ライダー」の4種類となりました。
ハイパフォーマンス版や新装備を追加
翌2011年10月に、先代にも設定されていた、「ライダー」をベースにボディ剛性強化やサスペンション及びエンジンにチューニングを施した「ライダーパフォーマンススペック」が追加されました。今回は3.5L車のみの設定で、スペックは最高出力300ps/6,400rpm、最大トルク36.8kgm/4,400rpmまで高められました。
次いで同年11月、一部仕様向上により「アラウンドビューモニター」が世界初となる移動物検知機能付きとなった他、曲がる方向にヘッドランプを照射する「アクティブAFS」が2.5L車にも装備された事で全車標準装備となりました。翌2012年11月の一部仕様向上においては、アラウンドビューモニターのカメラと超音波ソナーを利用した「踏み間違い衝突防止アシスト」が追加装備された他、3.5L車の燃費が改善されました。
2014年1月にマイナーチェンジを実施し、「XG」以外のグレードのフェイスリフトを行うと共に、LEDヘッドランプやシグネチャーLEDポジションランプが採用されました。同時に、メーターのデザイン変更や5インチのアドバンスドドライブアシストディスプレイの新設、全車にクルーズコントロールの標準装備などが行われました。
3代目エルグランドは、大幅な刷新によりライバルであるトヨタの「アルファード」「ヴェルファイア」に対抗を図ったものの、販売は伸び悩み、人気の点では水を開けられている状況が続いています。