1986年に18年ぶりのフルモデルチェンジを受け2代目となったジャガーのFR4ドアサルーン「XJ」は、1994年10月のビッグマイナーチェンジにより、「X300」の社内コードを持つ改良版に移行しました。パワートレインや足回りの改良が図られた他、日本製プレスマシンの採用によるエクステリアのリニューアルや、日本電装製の電装系採用による信頼性向上が図られました。
過給器付エンジンを設定
従来の「X40」系よりもやや丸みを帯びたスタイリングに変貌したボディのサイズは、全長5,024mm(標準ホイールベース仕様)/5,149mm(ロングホイールベース仕様)×全幅1,799mm×全高1,307~1,333mmで、全長が延長された一方で全幅は縮小されました。ホイールベースは標準ホイールベース仕様が2,870mm、ロングホイールベース仕様が2,995mmで、こちらは従来と同様でした。
搭載エンジン及びグレード体系は、当初3.2L直6DOHC NA(最高出力215ps/最大トルク32.1kgm)の「XJ6 3.2」「XJ6 3.2S」、4L直6DOHC NA(最高出力245ps/最大トルク39.9kgm)の「XJ6S」、同スーパーチャージド(最高出力325ps/最大トルク52.2kgm)の「XJR」がラインナップされ、V12エンジン搭載車はXJ81系「XJ12」が継続販売されました。
トランスミッションは、5速MT又は4速に多段化されたトルコン式ATが組み合わせられました。サスペンション形式は、それまでのフロント:ダブルウィッシュボーン式/リア:ロワウィッシュボーン式から、リアがダブルウィッシュボーン式に変更されました。又、4輪ディスク式のブレーキは、フロントのみならずリアにもベンチレーテッド型が採用されました。
ビッグM/Cを機にV8エンジンを採用
その後、1995年にXJ12がX300系に準じたスタイリングに変更されました。次いで1997年9月、X300系にビッグマイナーチェンジが実施され「X308」系に移行しました。エクステリアに大きな変更は無かったものの、エンジンが伝統の直6からV8 DOHCに置換された他、足回りの改良やインパネのデザイン刷新などが図られました。
ラインナップは、3.2L NAエンジン(最高出力243ps/最大トルク32.2kgm)搭載の「XJ8 3.2」、4L NAエンジン(最高出力294ps/最大トルク40kgm)搭載の「XJ8 4.0」、同スーパーチャージドエンジン(最高出力375ps/最大トルク53.5kgm)搭載の「XJR」の3タイプでした。トランスミッションは、ATがそれまでの4速から5速に多段化されました。
そして2002年にフルモデルチェンジが実施され、「X350」系に移行しました。日本市場においては、1994年11月にX300系XJ3.2/XJ3.2S/XJ4.0S/XJR4.0スーパーチャージド各モデルのAT仕様が上陸を果たしました。そして1997年10月に、X308系XJ8 3.2-V8/XJエグゼクティブ3.2-V8/XJエグゼクティブ4.0-V8/XJR4.0スーパーチャージドV8に切り替えられました。
ジャガー XJ6 (2代目 X300 1994-1997)の口コミ評価/中古車購入インプレッション
英国車というと、自動車好きの中ではちょっと変わったポジションで見られるのではないでしょうか。いわゆるエンスー世界では、メインストリームのひとつではあるのですが、裏を返せばそれだけ変態(失礼!)濃度が高いともいえるわけで…。そんな訳でジャガーXJです。
この頃のジャガーと言うと、近付き難い神話が
ジャガーXJは、最初のモデルが1960年代後半にデビューし、モデルチェンジを繰り返しながら生産が続けられているモデルです。車に詳しくない方でもジャガーといわれて思い浮かべられる程度には街中で見かける割に、身近には乗っている人がいない、不思議な車種ではないでしょうか?このモデル、実はある神話によって庶民が近づくことができないように守られています。
それは「故障しまくる」という神話。トラブルが頻発して、主治医のガレージに入っている期間の方が路上を走っている期間より長い・・・というような。1980年代後半にフォード傘下に入るまでは、恐ろしい事にこれは神話ではなく実話だったそうです。
フォードの品質管理を導入し
でも、フォードの資本と品質管理を受け、信頼性の向上に努めたモデル「XJ40」からは、「神話」になりました。電装系に日本製の部品を採用し、あちこち手直しをした結果、見違えるほど別物の強さを身につけたようです。
ようですというのも実際に乗ったことがないからで、私のモデルは「XJ40」のさらに進化した(顔つきは原点回帰した)「X300」です。しかも通常の「X300」と「ソブリン」の2台持ち!病気です。
「X300」は1994年から1997年に生産された6気筒のモデルです。これが壊れない。相当にズボラをかましてオイル交換位のメンテナンスしかしなくても、ここ6年ほどの間にクーラーのホースがリークしただけ。内心では、実はトヨタ車をベースにボディだけを換装したのではないか?と思うくらいです。
ゆったり流しませんか?と言われているような走り
で走るとどうなのか。ノーマルサイズのタイアは路面の突き上げを乗員に伝えないだけではなく、どことなくユルユルと走ります。車の方から「ガンガン飛ばせえ!」とは決して言いません。
むしろ「ゆったり流しませんか?」と言われているような感じで、高速道路が空いていても、気が付くと法定速度で流しているようなことが多いです。ソブリンの方がホイールベースが長く、クルーズコントロールが噛んでいる影響からかアクセルの踏み込みに対するエンジンの反応にリニアリティがないので(平たくいえば遅い)、この傾向はより強くなります。
外界と隔絶した感覚
この車に関しては、べらぼうにビタッと”ハマル”シチュエーションにはなかなか行きあたらないのですが、街中であれ高速であれ、空いていようが渋滞していようが、あまり気持ちよさに変わりがありません。
基本的には静かな車なので、外からの音もフィルタを通したように聞こえますし、2000回転もまわっていれば流れについていけるので、「ぎゅいーん」というようなDOHCの咆哮を聞くこともありません。例えば、気分の良い喫茶店の窓際から、街の様子を眺めているような、ちょっと外界と隔絶した感覚があります。