ジャガーは2002年9月のパリ・サロンにおいて、「X350」のコードネームが与えられた新型「XJ」を発表しました。16年ぶりに基本設計が全面的に見直され、4ドアセダン型のボディはオールアルミ化された他、後席の居住性改善やトランクスペースの拡大が図られました。又、サスペンションは新設計されると共に、エアスプリングが採用されました。
ボディを拡大しながら軽量化を実現
当初標準ホイールベース仕様のみが設定されたボディのスタイリングは、ひと目でXJと分かるアイコン性を保ちながらも、全高が高められると共にトランクリッド後端が嵩上げされるなど、プロポーションに大きな変化が加えられました。ボディサイズは先代よりも一回り大きい全長5,090mm×全幅1,859mm×全高1,448mmで、特に全高は100mm以上高められました。
又、ホイールベースは先代のロングホイールベース仕様よりも長い3,033mmに設定されました。車両重量は1,615kgで、先代から100kg以上の軽量化を実現しました。駆動方式は従来同様FRで、搭載エンジン及びグレード体系は、当初3.5L V8DOHC NA(最高出力267ps/最大トルク34.6kgm)の「XJ8 3.5」と、4.2L V8DOHC NA(最高出力304ps/最大トルク42.9kgm)の「XJ8 4.2」が用意されました。
トランスミッションは5速MTが廃止され、全車に6速に多段化されたZF製トルコン式ATが採用されました。サスペンションは、形式上は従来と同様の4輪ダブルウィッシュボーン式ながら、構造面で変更が加えられると共にアルミ素材が採用されました。又、エアスプリングには電子制御によるセルフレベリング機構が備わっていました。
過給器付エンジンを追加
その後、2003年に3L V6DOHC NAエンジン(最高出力243ps/最大トルク30.6kgm)を搭載する「XJ6 3.0」と、4.2L V8DOHCスーパーチャージドエンジン(最高出力406ps/最大トルク56.4kgm)を搭載する「スーパーV8」、及びそのスポーティ仕様となる「XJR」が追加されました。次いで2004年には、全長とホイールベースを125mm延長した「L」シリーズが復活しました。
更に2005年、スーパーV8Lをベースとしたデイムラー版バッジエンジニアリング「スーパーエイト」がリリースされました。一方本家のジャガー版は、翌2006年に2.7L V6DOHCディーゼルターボエンジン(最高出力207ps/最大トルク44.4kgm)を搭載する「XJ2.7 V6」が追加されました。そして2009年にフルモデルチェンジが実施され、現行X351系に移行しました。
日本市場においては、2003年5月にXJ8 3.5/XJ8 4.2/XJR/スーパーV8の導入が開始されました。次いで2004年4月にXJ6 3.0が、同年10月にXJ8L 4.2/スーパーV8Lが、2005年2月にXJ8L 3.5が相次いで追加されました。その後2006年に、グレード体系がXJ3.0エグゼクティブ/XJ4.2エグゼクティブ/XJ4.2ソブリン/XJ4.2ソブリンL/XJRに変更されました。