フェラーリは2012年2月に、「599GTBフィオラノ」の後継モデルとなる2シーターFRグランツーリスモ「F12ベルリネッタ」を発表しました。アルミ製スペースフレーム構造を踏襲すると共にボディ素材に様々なアルミ素材を使用し、軽量化と同時に高剛性化が図られました。又、パワートレインも刷新され、パフォーマンスが一段と向上しました。
アグレッシブなボディは空力特性も向上
ボディタイプは599GTBフィオラノ同様、フィクスドヘッド・クーペのみの設定で、デザインは引き続きピニンファリーナの手により行われました。スタイリングは、ロングノーズ化が図られると共に前年にデビューしたシューティングブレーク「FF」を彷彿とさせるフロントマスクの採用、うねるようなボディ側面の造形などにより、非常にアグレッシブなものとなりました。
同時に空力特性も改善され、Cd値は599GTBフィオラノの0.34に対し0.299となりました。ボディサイズは全長4,618mm×全幅1,942mm×全高1,273mmで、599GTBフィオラノからそれぞれ48mm×18mm×63mm縮小され、ホイールベースも30mm短い2,720mmに設定されました。又、車両重量は200kg以上軽量化され1,525kgとなりました。
700HP超えのパワーを実現
パワートレインは、FFと共通の6.3L V12エンジンがフロントに、7速DCTのギアボックスが車体後部に搭載されました。このトランスアクスルレイアウトの踏襲により、前後重量配分はFR車として理想的な46:54となりました。エンジンは圧縮比がFFの12.3:1から13.5:1まで高められ、スペックは最高出力が約90HPアップの740HP/8,500rpm、最大トルクが0.8kgmアップの70.4kgm/6,000rpmとなりました。
パフォーマンスは、599GTBフィオラノに対し最高速度が5km/h以上高い335km/h以上となり、0-100km/h加速は0.5s短縮され3.1sとなりました。同時に、CO2排出量は490CO2g/kmから350CO2g/kmへと大幅に削減されました。サスペンション形式は、599GTBフィオラノ同様のフロント:ダブルウィッシュボーン式/リア:マルチリンク式が踏襲されました。
様々な電子デバイスを装備
電子制御マグネティック・ダンパーの「SCM」、カーボンセラミック・ブレーキの「CCM3」、フロントブレーキの温度上昇を抑える「アクティブ・ブレーキ・クーリング」、電子制御ディファレンシャルの「E-Diff」、電子制御トラクションコントロールの「F1-Trac」が装備されるなど、走行性能向上対策も盤石なものでした。
そして2015年11月に、更なるパフォーマンス向上を図った799台限定モデル「F12tdf」が発表されました。ボディの軽量化(-110kg)、空力特性の改善、エンジンのアウトプット向上(29.5HP/1.5kgmアップ)、後輪操舵機構「バーチャル・ショートホイールベース・システム」の採用など、様々なリファインが図られました。パフォーマンスは、最高速度340km/h・0-100km/h加速2.9sに向上しました。