フィアットは1966年、1961年にリリースした「1300/1500」に代わる小型乗用車「124」を発売しました。メカニズムや内外装デザインは平凡ながら優れた実用性を備え、軽量設計により動力性能も水準を超えていました。そのトータルバランスの高さが評価され、フィアット車として初めて同年度のヨーロピアン・カーオブザイヤーを受賞しました。
4輪ディスクブレーキを採用
4ドアセダンの「ベルリーナ」と5ドアステーションワゴンが用意されるボディは、丸型2灯式ヘッドランプとボクシーかつプレーンなフォルムを備えていました。ボディ・ディメンションは全長4,030mm×全幅1,611mm×全高1,420mm、ホイールベース2,420mmで、1300/1500に対し全幅が66mm拡大された事を除き同一の数値でした。
車両重量は855kgで、1500に対し120kg程軽量化されました。駆動方式はコンベンショナルなFRを踏襲し、エンジンはダウンサイジングされて当初1.2L直4OHVシングルキャブレター仕様(最高出力60ps/最大トルク8.9kgm)が搭載されました。トランスミッションは1300/1500同様4速MTとの組み合わせで、それを介しての最高速度は140km/hでした。
サスペンション形式は、フロントはダブルウィッシュボーン+コイル式を踏襲し、リアはリジッド・リーフ式から3リンク+コイル式に改められました。ステアリング形式はウォーム&ローラー式を踏襲し、ブレーキは当時の乗用車としては贅沢な4輪ディスク式が採用されました(1300/1500はフロントのみディスク式を採用)。
上級グレードを追加
そして同年秋のトリノ・ショーで124シリーズの新たな一員となる2ドアカブリオレ「スポルト・スパイダー」が発表され、翌1967年には2ドアクーペの「スポルト・クーペ」が追加されました。その後ベルリーナは1968年に、1.4L直4OHVシングルキャブレター仕様エンジン(最高出力70ps)を搭載し、5リンク式リアサスペンションと丸型4灯式ヘッドランプを採用した「スペチアーレ」が追加されました。
次いで1970年のマイナーチェジでフロントグリルが変更されると同時に、1.4L直4DOHCシングルキャブレター仕様エンジン(最高出力80ps)+5速MTを搭載する「スペチアーレT」が追加されました。続いて1972年には2度目のマイナーチェンジが実施され、スペチアーレTのエンジンが1.6L直4DOHCシングルキャブレター仕様(最高出力95ps)に置換されました。
そして1974年に後継車種「131」が発売された事を受け、同年生産終了となりました。フィアット124はその実用性の高さを買われてソビエトやスペインなど世界数か国でライセンス生産が行われ、本家の生産が終了した1974年以降も販売が続けられました。