1982年に「バネット」シリーズの上級車種としてデビューした日産自動車のワンボックス車「バネットラルゴ」は、1993年5月に7年ぶり2度目のフルモデルチェンジを受け3代目モデルに移行しました。車名から「バネット」が外れると共に、ボディ形状が従来のワンボックス型から短いボンネットが備わるセミキャブオーバー型に変更されました。
乗用ワゴンのみのラインナップに
ボディタイプは助手席側のみに後席用スライドドアが備わる4ドアで、この代から商用登録のバンが廃止され乗用登録のワゴンに一本化されました。ボディサイズは全長4,585mm×全幅1,745mm×全高1,835~1,920mmで、先代から全長・全幅が拡大され3ナンバーサイズとなった一方、全高は低く設定されました。又、ホイールベースは一気に400mm近く延長され2,735mmとなりました。
サスペンション形式は、フロントがダブルウィッシュボーン式からストラット式に、リアが5リンク式からマルチリンク式に変更されました。駆動方式は先代同様FRとフルタイム4WDが設定され、エンジンラインナップは一新されて2L直4SOHCディーゼルターボのCD20TI型と2.4L直4DOHCガソリンNAのKA24DE型の2種類となりました。
最高出力/最大トルクは前者が100ps/21kgm、後者が145ps/22kgmで、トランスミッションはMTが廃止され全車4速トルコン式ATとの組み合わせとなりました。室内の仕様は当初8人乗り仕様の設定が無くなり、2-2-3シート配列の7人乗り仕様のみでのスタートとなりました。発売時のグレード体系は、下から「RX-G」「SX-G」「グランデージ」の3タイプがラインナップされました。
更にガソリン車のSX-G/グランデージには、4輪操舵システム「SUPER HICAS」と電子制御サスペンションが備わる「GTパック」が設定されました。そして1994年10月に、2-3-3シート配列8人乗り仕様の新グレードとして「RX-Gプラス」「SX-Gプラス」と、先代にもラインナップされたアウトドア志向の「ウミボウズ」が追加されました。
日産 ラルゴのCM
エアロパーツ装着グレード「ハイウェイスター」を追加
次いで1995年8月の一部改良で全車に運転席SRSエアバッグシステムが標準化されると共に、ディーゼル車のエンジンが電子燃料噴射仕様のCD20ETI型(最高出力105ps/最大トルク22.5kgm)に置換されました。同時に、オーテックジャパンの手によりエアロパーツなどが装着される特装車「ハイウェイスター」が追加されました。
続いて1996年10月のマイナージェンジで内外装デザインの変更や仕様向上が図られると共に、グレード体系が一部見直されました。新グレードとして「SX-Gプラスリミテッド」「Gプラスリミテッド」「グランドスター」が追加された一方、RX-G/RX-Gプラスは廃止されました。追って1997年1月には、新グレード「グランドスターM」「ハイウェイスターM」が追加されました。
更に同年11月の一部改良で全車にABSとSRSデュアルエアバッグシステムが標準化されると共に、グレード体系が見直されG/SX-G/グランドスター/SX-Gリミテッドパック/ハイウェイスター/グランドスター/ハイウェイスターツーリング(ガソリン車のみ)のラインナップとなりました。次いで1998年6月、ハイウェイスターをベースに仕様向上を図った「ハイウェイスターⅡ」が追加されました。
そして1999年6月、下位モデル「セレナ」がフルモデルチェンジにより車格がアップした事などを受け、生産終了となりました。