1972年8月、アウディNSUアウトウニオンAGは、「アウディ・75/90スーパー」の後を継ぐと同時に「アウディ・100」の弟分として位置付けられる小型車「アウディ・80」をリリースしました。モダンな内外装デザインや優れたトータルバランスによりユーザーや評論家から好評を博し、1973年度の欧州カーオブザイヤーに輝きました。
デザインはジウジアーロが担当
ボディタイプは2ドア/4ドアセダンの他、北米など海外市場向けに5ドアステーションワゴンの「アヴァント」も用意されました。ジョルジェット・ジウジアーロの手によりデザインされたエクステリアは直線基調のプレーンなフォルムが備わり、全長4,175mm×全幅1,600mm×全高1,362mmのボディサイズは75/90スーパーよりも一回り縮小されていました。
又、ホイールベースは100mm程短い2,470mmに設定されました。サスペンション形式は、フロントは75/スーパー90同様のダブルウィッシュボーン式が踏襲された一方、リアはトレーリングアーム式から100同様のトーション・クランク・アクスル式に変更されました。駆動方式はFFを踏襲し、エンジンは新設計の直4SOHCキャブレター仕様ユニットが採用されました。
ラインナップは、当初チューニングの異なる2種類の1.3L(最高出力55ps/60ps)及び1.5L(最高出力75ps/85ps)が用意されました。トランスミッションは、4速MTと3速トルコン式ATが設定されました。又、ラック&ピニオン式のステアリング形式やフロント:ディスク式/リア:ドラム式のブレーキ形式は、75/90スーパーや100と同様でした。
高性能モデルを追加
グレード体系は当初、下から1.3L/55psエンジン搭載のベースグレード、同60psエンジン搭載の「S」、1.5L/75psエンジン搭載の「L」、同85psエンジン搭載の「GL」の4タイプが設定されました。これらの内、GLのみヘッドランプが丸型4灯式となり、それ以外には丸型2灯式が採用されました。そして翌1973年に、1.6Lエンジン(最高出力100ps)を搭載する高性能モデル「GT」が追加されました。
次いで1976年のマイナーチェンジでヘッドランプが角型2灯式に変更されると共に、フロントウィンカーの位置がバンパー内からヘッドランプの両サイドに変更されるなど、フロントマスクが100に類似した意匠となりました。同時に、1.6L電子燃料噴射仕様エンジン(最高出力110ps)を搭載する「GTE」が追加されると共に、1.3Lエンジンは廃止されました。
そして1978年秋にフルモデルチェンジが実施され、2代目B2系に移行しました。日本市場における初代80は、1973年にヤナセの手によりまず4ドア・GLの導入が開始され、1976年に昭和50年排出ガス規制に適合した1.6L電子燃料噴射仕様エンジンを搭載する「GLE」に切り替えられました。追って翌1977年には、マイナーチェンジ版のGLE及びその廉価版「LE」(2ドアも有り)の輸入が開始されました。