三菱自動車工業は1999年12月、アイドリングストップ機構を採用したコンパクトな環境対策車「ピスタチオ」を発売しました。軽自動車の8代目「ミニカ」をベースにボディや排気量の拡大を図ったモデルで、販売は自治体や企業など法人用途限定で行われました。燃費性能の面では、純ガソリン車として当時世界トップレベルを誇りました。
GDIエンジンを搭載
ボディタイプは3ドアハッチバックのみの設定で、ミニカに設定のあった5ドアハッチバックは用意されませんでした。ボディサイズは全長3,440mm×全幅1,475mm×全高1,510mmで、ミニカから全長が45mm拡大されていました。一方、プラットフォームは共通であったため、2,340mmのホイールベースに変更はありませんでした。
車両重量は700kgと登録車としては軽量で、ミニカ3ドアの中堅グレードと比較してもわずかながら軽く抑えられていました。エクステリア・デザイン面では、専用デザインのバンパーやマルチリフレクター・ヘッドランプの採用などによりミニカとの差別化が図られていました。駆動方式はミニカと異なりフルタイム4WDは設定されず、FFのみとなっていました。
エンジンはミニカの0.66L直3SOHCに代え、1.1L直4DOHC GDI(筒内直接噴射)仕様の4A31型(最高出力74ps/最大トルク10.2kgm)が搭載されました。組み合わせられるトランスミッションは、4速/5速MTと3速トルコン式ATの3つの選択肢があったミニカに対し、5速MTのみの設定となっていました。
また、アイドリングストップ機構はニュートラル状態でクラッチを踏み込むとエンジンが始動するクラッチスタートシステムが採用され、30km/Lという優れた10.15モード燃費の達成に貢献していました。サスペンション形式は、ミニカ同様のフロント:マクファーソンストラット式/リア:トルクアーム3リンク式が踏襲されました。
必要最低限の装備を採用
ブレーキも同様にフロントがディスク式、リアがドラム式で、タイヤはミニカのエントリーグレードにも採用される135/80R13という細いサイズが装着されました。また、ホイールはミニカにはオプションでも用意されないアルミホイールが標準で装着されました。安全装備面では、運転席エアバッグが標準装備された一方、助手席エアバッグはオプションで選ぶこともできませんでした。
グレードはモノグレード設定で、パワーステアリングやパワーウィンドウ、マニュアルエアコンといった最低限必要な装備は標準で備わっていました。一方、ボディカラーはイエロー系1色のみと、法人用途専用車らしい割り切った設定になっていました。販売は翌2000年6月をもって打ち切られ、その間に生産された台数はわずか50台に過ぎませんでした。