三菱自動車は1992年10月に、新型4ドアハードトップ「エメロード」を発売しました。同時にデビューした7代目「ギャラン」シリーズをベースとしながら、スタイリッシュなフォルムと上質なインテリアが備わる、ワンランク上級のスペシャリティカーに仕立てられていました。
空力特性に優れたボディ
エクステリアは、風洞実験とコンピューターシミュレーションによりボディ形状が最適化され、流麗なスタイリングと共にCd値0.29の優れた空力特性を実現していました。ボディサイズは全長4,610mm×全幅1,730mm×全高1,370~1,380mmの3ナンバーサイズで、センターピラー付4ドアボディを持つギャランよりも全高が30mm低く設定されていました。
ホイールベースは同一の2,635mmで、車両重量はほぼ同等の1,230~1,440kgでした。サスペンション形式はギャラン同様の4輪マルチリンク式を採用し、駆動方式も同じくFFとフルタイム4WDが設定されました。発売当初のエンジン・ラインナップは、1.8L直4SOHCの6A11型、同V6SOHCの4G93型、そして2L V6SOHC及びDOHCの6A12型の4種類が用意されました。
最高出力/最大トルクはそれぞれ110ps/15.7kgm 、135ps/17kgm、145ps/18.5kgm、170ps/19kgmとなり、トランスミッションは各エンジンに5速MTと4速トルコン式ATが設定されました。当初のグレード体系は、1.8L直4の「TG」、同V6の「TR」、2L SOHC及び同DOHC FFの「スーパーツーリング」、2L DOHCフルタイム4WDの「スーパーツーリング4」が用意されました。
三菱 エメロードのCM
MIVEC(可変バルブタイミング機構)エンジン搭載車を追加
ブレーキはフロントが全車ベンチレーテッド・ディスク式で、リアはTGとTRがドラム式、スーパーツーリングがディスク式、スーパーツーリング4がベンチレーテッド・ディスク式でした。そして1994年1月に、2L V6DOHC MIVEC仕様の6A12型エンジン(MT車:最高出力200ps/最大トルク20.4kgm・AT車:最高出力195ps/最大トルク20.6kgm)を搭載する特別仕様車「スーパーツーリングR-スペシャル」が設定されました。
追って翌2月には内外装色の一部変更と共に、前述の特別仕様車と同等の仕様を持つ「スーパーツーリング-R」がカタログモデルとして追加されました。更に同年5月、TGをベースにエアロパーツやアルミホイールを装着した「スーパーツーリング」、2L SOHC版「スーパーツーリング」にフルロジックカセットデッキを装備した「スーパーツーリングスペシャル」の2つの特別仕様車が設定されました。
次いで同年10月にマイナーチェンジを受け、フェイスリフトやリアコンビネーションランプの意匠変更と共に、運転席SRSエアバッグシステムが標準装備されました。同時に1.8L直4エンジンのTGが廃止された他、1.8L V6車のグレードが「スーパーツーリング」に変更されました。そして1996年10月、ベースモデルのギャランが8代目モデルに移行した事に伴い、生産終了となりました。
三菱 エメロードのPV
三菱自動車のラインナップの中で存在感を示せず、販売面で振るわなかった事から、後継モデルは発売されず1代限りで消滅しました。