日産自動車は1997年10月、セミトール型ステーションワゴン「ルネッサ」を発売しました。元々は米国カリフォリニア州向けのEV「アルトラEV」として開発されたモデルを国内市場向けガソリン車/EVとして転用したモデルで、各種バッテリーの搭載を前提にした二重構造のフロアを特徴としていました。
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ハイトの高いボディを採用
オールヒンジ式ドアを採用する2ボックス型5ドアボディのスタイリングは、フロント廻りの意匠など一部の相違を除き基本的にアルトラEVと共通でした。ボディサイズは全長4,680mm×全幅1,765mm×全高1,625mm(ルーフレール無)/1,690mm(ルーフレール付)で、一般的なステーションワゴンよりもハイトが高めに設定されていました。
又、ホイールベースは2,800mmと長大で、一クラス上のセドリック/グロリアに匹敵するものでした。駆動方式はFFとフルタイム4WDが設定され、サスペンション形式はフロントは全車ストラット式で、リアはFF車にはマルチリンクビーム式が、4WD車にはマルチリンク式が採用されました。パワートレインは当初、ガソリンエンジンのみが設定されました。
まずはガソリン車から
ラインナップは、まず2L直4DOHC NAのSR20DE(最高出力140ps/最大トルク19kgm)と2.4L直4DOHC NAのKA24DE(最高出力155ps/最大トルク21.6kgm)の2種類でスタート、翌11月にSR20DE型にターボチャージャーを装備したSR20DET型(最高出力290ps/最大トルク27kgm)が追加されました。トランスミッションは、全車4速トルコン式ATとの組み合わせでした。
一方、室内は2列シート5人乗り仕様で、個別にスライドが可能な5:5分割式リアシートの他、一部グレードに回転対座機構付きのフロントシートが装着されました。又、安全装備として全車にSRSデュアルエアバッグシステムとABSが採用されました。当初のグレード体系は、2L NA・FFの「B」「G」「X」、2Lターボ・4WDの「GTターボ」、2.4L・4WDの「B」「G」がラインナップされました。
日産 ルネッサのCM
EVを追加
そして1998年5月、G(2L/2.4L)をベースとした特別仕様車「ブラックリミテッド」が設定されると共に、アルトラEVの国内版となる「ルネッサEV」のリース販売が開始されました。ルネッサEVは、同期型モーター(最高出力62kW)+リチウムイオンバッテリーのパワートレインにより前輪を駆動、最高速度120km/h、一充電走行距離230kmの性能を持っていました。
追って同年11月、トランスミッションにハイパーCVTを採用した2L NA車の新グレード「Gリミテッド」「Xリミテッド」が追加された他、2.4L車にもGリミテッド(トランスミッションは4速トルコン式ATを踏襲)が設定されました。更に、オーテックジャパンの手により専用の足回りや内外装が装備される特装車「アクシス」(2L/2.4L)及び「アクシスGTターボ」がリリースされました。
次いで2000年1月のマイナーチェンジで内外装デザインが変更されると共に、2L NA車のトランスミッションが全車ハイパーCVTに統一されました。同時に2L NA/2.4L車の新グレードとして、GとXの間を埋める「S」と、Xにエアロパーツを装着した「Xエアロ」が追加されました。しかし、当初から振るわなかった販売面の改善には至らず、同年7月に生産終了となりました。
後継車種は発売されず、一代限りで日産のラインナップから消滅する形になりました。