マダムキラーの決定版
これまで何度かマイカー候補に上がりながら乗ることがなかったメルセデス・ベンツだけど、CLAはとても気になったので試乗に行ってきた。
試乗したのはベースグレードのCLA180。なんで気になったのか、CLAは現在のメルセデス・ベンツのいいトコ取りの結集のように感じたから。メルセデスの歴史やクルマ作りについては語らなくても十分ご存知だと思うので割愛するとして、CLAは弱点だったメルセデスのエントリークラスに非常に魅力的な車種として投入された。
A-Classも三代目に突入して、コンセプトの大幅変更を経て、やっとゴルフと戦える(と言うよりはゴルフにかなり擦り寄った)クルマになった。でも、軽快なハッチバックスタイルは若者ウケするかもしれないが、セレブリティなマダムの買い物カーとしてはちょっとカジュアル過ぎ。かと言ってB-Classはスペース志向で野暮ったいし、C-Classはガッチリし過ぎ。そんなセレブなマダムの心をズギュンと射止められる魅力的なクルマだ。
CLSで新境地を開いた「メルセデスなのに流麗」なスタイルとキラキラとした高級感をうまくA-Classベースで表現した。
1,600㏄にターボチャージャー、7速ツインクラッチという最新のダウンサイジング傾向+高効率ユニットを搭載し、流麗なボディライン、豪華な内装を装備しながらベースグレードは335万円という魅力的な価格設定だ。それでいてベースグレードでも18インチアルミまでついている。
乗り心地はなかなか
実車を目の前にした第一印象は「けっこうデカいな」。エントリーモデルのA-Classベースとは言え、全幅1780㎜、全長4640㎜とけっこう大柄である。ホイールもデカい。顔もイカついけどボディラインは流麗。非常に魅力的に感じた。
18インチホイールから固い乗り心地とロードノイズを想像していたが、遮音性は高く、乗り心地もけっこうマイルドだった。加速感はかなり大人し目。でも、スポーツモードでシフトを固定しながら走れば結構楽しめる。そもそもグイグイ走るならCLA250を選ぶだろうから、マイルドな走行フィールは丁度良いと思う。内装の質感は高く、随所にメッキパーツが奢られており、良い車に乗っている満足感は高い。
リヤシートは身長166㎝の自分でも髪の毛が天井に引っかかる。また、Cピラーが近くてかなり狭い感じは否めない。でも、大人4人乗車の頻度が高い人はそもそもこの車を選ばないと思うので、これでいいと思う。スタイリングやブランドイメージに惚れて買うクルマである。
ドンピシャのマーケティング
この車、ここ10年くらいのメルセデスが行ってきたブランド開拓の集大成だと思う。A-Classによる小型車への挑戦、CLSで行ってきたスタイリッシュな挑戦。その両方が結実している。
海外マダムの事は良く分からないが、国内においてはプチセレブマダムに爆発的なベストセラーになると思う。だって、ドンピシャでしょ。これ。そこそこコンパクトでありながら、押し出しがあって、スタイリッシュ。乗り心地はソフトで運転もしやすい。そしてリーズナブル。自分のような今までメルセデスに乗っていない人間でも引き寄せられる位、魅力的なコンセプトのクルマだなぁと思った。半年もすると青山とか代官山とかCLAだらけになるんじゃないかな。
実際の所、かなりバックオーダーを抱えてるようで、売れ筋でない希望の色や装備を選ぶと半年程度は待つようである。気になる人は早くディーラーに行った方が良いかも。