初代モデルが1992年にデビューしたアウディAGの高性能Dセグメントモデル「S4」シリーズは、2004年に3度目のフルモデルチェンジを受け、4代目B7系に移行しました。一足先にデビューした4代目「A4」をベースに開発されたモデルで、先代からプラットフォームが刷新されるとともフロントマスクが一新されました。
シングルフレーム・グリルを採用
ボディタイプは、当初4ドアセダン「S4」と5ドアステーションワゴン「S4アバント」の2タイプが用意され、エクステリア・デザイン面ではシングルフレームのフロントグリルや新デザインのヘッドランプの採用により、アグレッシブな雰囲気に変貌を遂げました。また、マフラーが従来の2本出しから4本出しに変更されたこともB7系の特徴でした。空力特性の指標となるCd値は先代と変わりなく、S4が0.3、S4アバントが0.31でした。
ボディサイズは全長4,586mm×全幅1,781mm×全高1,415mm(S4)/1,441mm(S4アバント)で、全長が僅かに延長されたことをのぞき先代と同一でした。また、ホイールベースは先代と共通の2,651mmで、サスペンション形式もフロント:4リンク式/リア:トラペゾイダル式が踏襲されました。駆動方式も同様に、アウディ得意のフルタイム4WDシステム「クワトロ」が踏襲されました。
パフォーマンスは先代と同一
エンジンもまた4.2L V8DOHC NAがキャリオーバーされたほか、最高出力344ps/7,000rpm・最大トルク41.8kgm/3,500rpmのスペックにも変更はありませんでした。トランスミッションは従来同様、6速MTとパドルスイッチ付6速トルコン式AT「ティプトロニック」が設定され、前者を選んだ場合のパフォーマンスは最高速度がS4/S4アバントともに250km/h、0-100km/h加速タイムはS4が5.6s、S4アバントが5.8sでした。
これらの数値は、いずれも先代と同一でした。また、4輪ベンチレーテッド・ディスク式のブレーキや235/40R18サイズのタイヤにも変更はありませんでした。安全装備面では、先代に引き続きSRSデュアル&サイド&ヘッドエアバッグシステムやブレーキアシスト、車両安定化制御装置「ESP」などが標準装備されました。
インテリア面では、これも先代に引き続きA4とは異なる専用デザインのインパネやレカロシートなどが採用されました。その後翌2005年に、一旦カタログ落ちしていた2ドア4シーター仕様の「カブリオレ」が追加されました。そして2008年にまずベースモデルA4にフルモデルチェンジが実施され、同年10月のパリショーで新型A4をベースとしたB8系S4が発表されました。
日本市場においては、2005年2月にS4/S4アバントが同時に初上陸を果たしました。いずれも6速AT仕様のみの設定で、ともに右ハンドルと左ハンドルを選択することができました。