アウディAGは1991年、小型乗用車の4代目「100」(C4系)をベースとした高性能4ドアセダン「S4」をリリースしました。フェンダーフレアを拡大したワイドボディに、前年にリリースされた「S2クーペ」譲りのハイパワーエンジンを搭載したモデルでした。追って、5ドアステーションワゴン版の「S4アバント」もラインナップに加えられました。
フルタイム4WD方式を採用
スタイリングは、前述の変更点をのぞけば基本的に100と共通の雰囲気にまとめられていました。空力特性の高さも100譲りで、Cd値はS4で0.3、S4アバントでも0.34を実現していました。ボディ・ディメンション全長4,790mm×全幅1,805mm×全高1,430mm(S4)/1,454mm(S4アバント)、ホイールベース2,690mmで、100から全幅が25mm拡大されていました。
サスペンション形式は、100同様のフロント:マクファーソンストラット式/リア:トレーリングアーム式が踏襲されました。駆動方式はアウディ得意のフルタイム4WDシステム「クワトロ」のみの設定で、搭載されるエンジンは2.2L直5DOHCターボでした。スペックは最高出力230ps/5,900rpm・最大トルク35.7kgm/1,950rpmで、S2クーペから10ps/4.2kgmの向上が図られていました。
組み合わせられるトランスミッションは当初5速MTのみの設定で、パフォーマンスはS4が最高速度244km/h・0-100km/h加速6.8s、S4アバントが最高速度235km/h・0-100km/h加速7.1sとなっていました。ブレーキはフロントがベンチレーテッド型の4輪ディスク式(ABS付)で、タイヤは前後ともに215/60R15が装着されました。
AT仕様やV8モデルを追加
また、ステアリング形式はロック・トゥ・ロック3.5回転のパワーアシスト付ラック&ピニオン式でした。そして翌1992年に、S4/S4アバント両モデルに4速トルコン式AT仕様が追加されました。パフォーマンスはMT仕様から若干低下し、S4が最高速度239km/h・0-100km/h加速8.3s、S4アバントが最高速度230km/h・0-100km/h加速8.6sとなっていました。
さらにこの年、4.2L V8DOHC NAエンジン(最高出力280ps/5,800rpm・最大トルク40.8kgm/4,000rpm)を搭載する上級モデル「S4プラス/S4プラスアバント」がラインナップに加えられました。トランスミッションは6速MTが組み合わせられ、パフォーマンスはS4プラス/S4プラスアバントともに最高速度247km/h・0-100km/h加速6.6sでした。
また、パフォーマンスの向上に対応するため、リアブレーキにソリッド・ディスク式に代わりベンチレーテッド・ディスク式が採用されたほか、タイヤもよりワイド&扁平な225/50R16に変更されました。そして1994年、ベースモデルの100がマイナーチェンジを受け車名が「A6」に変更されたのを機に、S4シリーズは廃止されました。
初代「A4/A4アバント」をベースとした2代目S4/S4アバントが登場するのは、それから3年が経過した1997年のことでした。