初代モデルが1992年にデビューしたアウディAGの高性能4ドアセダン「S4」および5ドアステーションワゴン「S4アバント」は、2002年に2度目のフルモデルチェンジを受け、3代目B6系に移行しました。2001年にデビューした3代目「A4」をベースに開発されたモデルで、先代からプラットフォームが一新されるとともにパワートレインも変更されました。
空力特性がさらに向上
スタイリングは、A4/A4アバント譲りのエレガントな雰囲気を継承しながらも、専用デザインのバンパーや2本出しのマフラーなどにより、ハイパフォーマンスモデルとしてのアイデンティティが打ち出されました。空力特性の指標となるCd値はS4が0.3、S4アバントが0.31で、ともに先代から0.01ポイント改善されました。
ボディサイズは全長4,575mm×全幅1,781mm×全高1,415mm(S4)/1,440mm(S4アバント)で、先代からは一回り拡大されました。また、ホイールベースも40mm以上延長され2,651mmとなりました。サスペンション形式は、フロントは4リンク式が踏襲された一方、リアはダブルウィッシュボーン式からトラペゾイダル式に変更されました。
エンジンをV6ターボからV8NAに置換
駆動方式は、アウディ得意のフルタイム4WDシステム「クワトロ」が踏襲されました。エンジンは先代の2.7L V6DOHCツインターボに代わり、4.2L V8DOHC NAが搭載されました。スペックは最高出力344ps/7,000rpm・最大トルク41.8kgm/3,500rpmで、従来から79ps/1kgmの向上を果たしました。
組み合わせられるトランスミッションは、6速MTまたはパドルスイッチ付6速トルコン式AT「ティプトロニック」で、前者を選んだ場合のパフォーマンスは最高速度がS4/S4アバントともに250km/h、0-100km/h加速タイムはS4が5.6s、S4アバントが5.8sでした。また、4輪ディスク式のブレーキは、フロントに加えリアにもベンチレーテッド型が採用されました。
ホイール&タイヤは先代よりもワイド&大径化が図られ、前後ともに8J×18インチホイールと235/40R18タイヤの組み合わせが採用されました。安全装備面では、SRSデュアル&サイド&ヘッドエアバッグシステムやブレーキアシスト、車両安定化制御装置「ESP」などが標準装備されました。また、インテリア面では専用デザインのインパネやレカロシートが採用されました。
その後2003年に、2ドア4シーター仕様のオープンモデル「カブリオレ」が追加されました。そして2004年にベースモデルのA4がフルモデルチェンジを受け、おってS4も新型A4をベースとしたB7系に移行しました。日本市場においては、2003年9月にS4/S4アバントが同時に初上陸を果たしました。いずれも6速AT仕様のみの設定で、当初S4が左ハンドル仕様、S4アバントが右ハンドル仕様となっていました。
しかし翌2004年8月には、S4/S4アバントともに右/左ハンドルが選択できるようになりました。