GM(ゼネラルモーターズ)は1960年、シボレー部門から欧州製の小型車に対抗するためのコンパクトカー「コルヴェア」を発売しました。アメリカ車としていち早くモノコックボディを採用した他、FR方式が一般的だったアメリカ車には珍しいRRレイアウトや、世界的にも採用例の少なかった空冷水平対向エンジンの採用など、画期的な設計が行われたモデルでした。
室内空間の広さが売り物
ボディタイプは、当初4ドアセダンのみのラインナップでスタートしました。スタイリングは直線基調のプレーンなボディラインと、RR車ならではのグリルレスのフロントマスクが特徴でした。ボディ・ディメンションは全長4,572mm×全幅1,702mm×全高1,302mm、ホイールベース2,743mmで、アメリカ車としてはコンパクトなディメンションにまとめられていました。
車両重量も軽量で、初期型で1,095kgでした。サスペンションは前後ともコイルスプリング式で、リアには当時としては先進的なスイングアクスル独立懸架式が採用されました。リアに搭載されるエンジンは、発売当初は空冷2.3L水平対向6気筒OHV(最高出力81ps/最大トルク17.3kgm)のみの設定で、トランスミッションは3速MTまたは2速トルコン式ATが組み合わせられました。
ステアリング形式はリサーキュレーティング・ボール式で、フロント加重の低いRR方式の特徴を生かしパワーアシストは備わっていませんでした。また、ブレーキは当時として一般的だった4輪ドラム式が採用されました。室内は、ドライブシャフトを持たないRR方式ならではの居住性の高さがセリングポイントで、装備面では暖房能力に優れた燃焼式ヒーターの採用が特徴でした。
ラインナップを拡大し排気量をアップ
グレード体系は、当初「500シリーズ」と「700シリーズ」のラインナップでした。その後1960年に、2ドアクーペがラインナップに加わるとともに、最上級グレード「900シリーズ」が追加されました。次いで1961年には5ドアステーションワゴンと、ワンボックス型ボディを採用した派生モデル「コルバン95」シリーズおよび「グリーンブライア・スポーツワゴン」が追加されました。
さらにこの年、エンジンの排気量が2.4Lに拡大され、アウトプットが最高出力81ps/最大トルク17.7kgmまたは最高出力103ps/最大トルク18.6kgmに向上しました。また、オプションで4速MTが設定されたのもこの年の事でした。続いて1962年には、2.4Lターボエンジン(最高出力152ps/最大トルク29.1kgm)を搭載する「モンザ・クーペ」およびその2ドアコンバーチブル版「モンザ・スパイダー」が追加されました。
次いで1964年にエンジンの排気量が2.7Lに拡大され、アウトプットがNA仕様は最高出力96ps/最大トルク21.3kgmまたは最高出力112ps/最大トルク22.1kgmに、ターボ仕様は最高出力152ps/最大トルク32.1gmに向上しました。そして翌1965年にフルモデルチェンジが実施され、2代目モデルに移行しました。