1954年にGM・シボレー部門初の2シータースポーツカーとして誕生した「コルベット」は、1997年に14年ぶり4度目のフルモデルチェンジを受け、5代目C5型に移行しました。先代C4型から基本設計が一新され、ボディがセミモノコック構造からフルモノコック構造に変更されると共に、アルミブロック及び電子スロットル採用の新世代エンジンが搭載されました。
優れた空力特性と重量バランスを実現
ボディタイプは当初、コンバーチブルとタルガトップ風セミオープンが廃止され、クーペのみのラインナップとなりました。リトラクタブルヘッドランプを踏襲するエクステリアは、曲線基調の流麗なフォルムに変貌すると共に、Cd値0.29の優れた空力特性を実現しました。ボディサイズは全長4,564mm×全幅1,869mm×全高1,212mmで、先代C4型から一回り拡大されました。
又、ホイールベースも一気に200mm以上延長され2,654mmとなった一方で、車両重量は30kg以上軽量化され1,460~1,465kgとなりました。駆動方式はFRを踏襲しつつ、トランスアクスルレイアウトの採用により50:50の前後重量配分を実現しました。エンジンは5.7L V8OHVの基本スペックこそ従来同様ながら、最高出力は45hpアップの345hp、最大トルクは3.2kgmアップの48.4kgmとなりました。
組み合わせられるトランスミッションは6速MT又は4速トルコン式ATで、前者を選んだ場合は最高速度277km/h・0-60mph加速4.8sの性能でした。サスペンション形式は、フロントはダブルウィッシュボーンを踏襲する一方、リアはマルチリンク式からダブルウィッシュボーン式に変更されました。そして翌1998年に、コンバーチブルが追加されました。
電子デバイスを導入
次いで1999年に一部改良が実施され、減衰力可変式ダンパー「リアルタイムダンピング」と、横滑り防止装置の一種である「アクティブ・ハンドリング・システム」が採用されました。続いて翌2000年、10kg軽量化したクーペボディに強化サスペンションが備わるハイパフォーマンス版「Z51」が追加されました。次いで2002年には、エアインテークマニホールドの形状が変更されました。
この仕様変更により、アウトプットが最高出力350hp/最大トルク49.8kgm(Z51は51.8kgm)に向上しました。更に同年、電磁式可変ダンパーシステム「マグネティック・セレクティブ・ライド・コントロール」が備わる50周年記念モデルが限定販売されました。翌2003年には、このシステムが標準モデルにも採用されました。
そして2004年をもって生産を終了、翌2005年に6代目C6型が登場しました。C5型コルベットは、日本市場にもクーペのベースグレード及びZ51、並びにコンバーチブルが正規輸入されました。日本仕様のトランスミッションは、ベースグレードとコンバーチブルが4速AT、Z51が6速MTでした。又、50周年記念モデルもクーペ/コンバーチブル合わせて20台が輸入されました。