ランチアは1976年のジュネーブ・ショーで、その2年前に生産終了となった「フラヴィア/2000」の後を継ぐ新たなフラッグシップモデル「ガンマ」を発表しました。1972年に登場した「ベータ」に続きフィアット傘下において開発されたものの、ベータと異なりフィアット車とはコンポーネンツを共有せず、完全なるオリジナル設計が行われました。
ボディはハッチバックとクーペを用意
ボディタイプは、スラントしたテールにバックドアが備わる5ドアハッチバックのベルリーナと、3ボックスタイプのクーペが用意されました。デザインを手掛けたのは共にピニンファリーナで、ベータとも共通する直線基調のプレーンな造形を備えていました。又、空力特性向上にも配慮が行われ、ベルリーナでCd値0.37を実現していました。
ボディサイズは、ベルリーナが全長4,580mm×全幅1,730mm×全高1,410mm、クーペが全長4,480mm×全幅1,730mm×全高1,330mmで、共にフラヴィア/2000よりもワイド&ローなディメンションになっていました。ホイールベースはベルリーナが2,670mm、クーペが2,555mmで共にフラヴィア/2000から延長され、車両重量も大幅に増加し1,270~1,320kgとなりました。
新設計のフラット4エンジンを採用
サスペンション形式は、開発初期の段階では親会社のフィアットがシトロエンと提携していた為、シトロエン独自のハイドロニューマチック方式を導入する計画があったものの、提携関係解消に伴いベータなどと同じ一般的な4輪ストラット式が採用されました。エンジンは、当初搭載が予定されていたアバルト製V6ユニットが棄却され、よりコンパクトなフラット4が採用されました。
このフラット4ユニットは、フラヴィア/2000に搭載されたOHVユニットとは異なり、SOHC化された新設計の物でした。2Lと2.5Lが用意され、ウェーバー・シングルキャブレター装備により前者は最高出力120ps/最大トルク17.5kgm、後者は最高出力140ps/最大トルク21.1kgmのアウトプットを発生しました。トランスミッションは、共に5速MTが組み合わせられました。
ブレーキは、フラヴィア/2000やベータ同様4輪ディスク式が採用されました。そして1980年にマイナーチェンジを受けシリーズ2に進化、フロントグリルやインパネ、シートの意匠が変更されると共に、2.5LユニットがボッシュLEジェトロニック燃料噴射仕様となり、最大トルクが21.3kgmに向上しました。同時に、2L/2.5L車共に4速トルコン式ATが設定されました。
そして1984年に、後継モデル「テーマ」にバトンタッチして生産終了となりました。ガンマはベータと異なり、北米や日本への正規輸出は行われませんでした。