マツダは1972年7月に、1970年に生産終了となった初代「キャロル」の後継車種となる新型軽乗用車「シャンテ」を発売しました。開発の段階ではシングルローター式ロータリーエンジンを搭載する計画であったものの、シングルローター特有の振動などの問題やライバルメーカーの阻害などにより実現せず、一般的なレシプロエンジンを搭載して登場しました。
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ロングホイールベースが特徴
ボディタイプは2ドアセダンのみの設定で、4ドアセダンや2ドアクーペ/ハードトップ、ライトバンなどがラインナップされていた競合車種に対し、非常にシンプルなモデル体系でした。スタイリングは、セダンでありながらクーペ風の洒脱なフォルムが備わると共に、タイヤを四隅に追いやった安定感あるプロポーションや、独特な形状のCピラーが特徴でした。
ボディサイズは全長2,995mm×全幅1,295mm×全高1,290mmで、全長と全幅は当時の軽自動車規格に準じたもので、全高は他社の2ドアセダンよりも若干低めに設定されていました。ホイールベースは競合車種よりも100mm以上長く、当時の軽自動車としてはロングホイールベースとなる2,200mmでした。車両重量は490kgで、比較的軽量に抑えられていました。
サスペンションは、先進的な4輪独立懸架方式が採用されていたキャロルとは異なり、フロント:ストラット式/リア:リジッド・リーフ式のコンベンショナルな方式が採用されました。又、駆動方式はRRのキャロルからFRに変更されました。エンジンは前述の顛末により、軽トラック「ポーター」用の水冷2ストローク360cc直2シングルキャブレター仕様が採用され、4速MTと組み合わされました。
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マツダ シャンテのエンジン音
ロータリーを搭載したシャンテの走行シーン
エンジンはシングルキャブながら高出力
このエンジンはシャンテ用に専用チューニングが施され、スペックはポーターを凌ぐ最高出力35ps/6,500rpm・最大トルク4kgm/5,500rpmを発生しました。数値的には他社のシングルキャブ車の30~34psを上回り、業界トップとなるものでした。一方、他社がラインナップしていたツインキャブレター仕様は最後まで用意されず、それに伴いスポーティグレードが設定される事もありませんでした。
室内面では、一般的にスペース効率で不利なFR方式の採用にも関わらず、ロングホイールベースにより軽自動車としては広大な居住空間を実現した他、運転席足元へのホイールハウスの干渉が少ない点も特徴でした。しかし、前述のボディバリエーションの少なさや、軽自動車市場におけるブランド力が低下していた事などから販売面では振るいませんでした。
そして1976年に昭和51年排出ガス規制が実施されると、それに対応する事もなく同年4月にそのまま販売終了となりました。シャンテの車名はその後も復活する事はなく、1代限りでマツダのラインナップから消滅しました。
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