アルファロメオ「156」は、1997年秋に「155」の後継モデルとして登場し、翌1998年1月には日本でも「アルファ156」の車名で販売が開始されました。エクステリアは、155の直線を基調としたシャープなイメージから一転し、曲線的なラインを持つ流麗なものへと変貌しました。
ボディサイズは、全長4,435mm×全幅1,755mm×全高1,415mm、車両重量は1,300kg~1,360kgで155と大きな違いはなく、当初はセダンのみが用意されました。サスペンションは4輪独立懸架で、155の前マクファーソン式/後トレーリングアーム式から、前ダブルウィッシュボーン式/後ストラット式に変更されました。
日本仕様は2L直4と2.5L V6を発売
エンジンは、欧州向けは1.6L直4、1.8L直4、2L直4、2.5L V6の4種類のガソリンNAと、1.9L直4、2.4L直4の2種類のディーゼルターボが用意されましたが、日本には2L直4及び2.5L V6の2種類のガソリンエンジンのみが導入されました。最高出力と最大トルクは、2Lが155ps/19.1kgm、2.5Lが190ps/22.6kgmでした。
トランスミッションは、2Lモデルには5速MTと「セレスピード」と呼ばれる5速セミAT(AMT)、2.5Lモデルには6速MTと「Qシステム」と呼ばれるマニュアルモード付4速トルコンATが用意されました。MTは右ハンドル仕様のみが用意され、それ以外は右ハンドルと左ハンドルが選択出来ました。駆動方式は、155同様FF方式でした。
新車情報’98 アルファロメオ156
2L直4エンジンを直噴ユニットに
2002年7月にエンジンのラインナップが変更され、2L直4エンジンがそれまでのアルファロメオ独自のツインスパークユニットから、JTSと呼ばれる直噴ユニットへと変更されました。この新エンジンは、最高出力165ps/最大トルク21kgmという従来以上のアウトプットと、欧州の新排気ガス規制をクリアする環境性能とを併せ持っていました。
それと同時に、3.2L V6エンジンを搭載するスポーティなグレード「GTA」が追加されました。最高出力250ps/最大トルク30.6kgmのスペックを持ち、トランスミッションは当初は6速MTのみが用意され、後に6速セレスピード仕様が追加されました。このGTAには、左ハンドル仕様のみが用意されました。
世界的に大ヒット。経営難のアルファを救った
2002年9月に、その2年前から国内で「アルファスポーツワゴン」の車名で発売されていたモデルを「アルファ156スポーツワゴン」に改名し、156シリーズに編入しました(欧州では最初から156スポーツワゴンの車名)。プラットフォームやエンジンなどはセダンと同一で、トランスミッションが日本仕様はセレスピードのみとなる点がセダンとの相違点でした。
2003年9月にフェイスリフトが行われ、フロントマスクが「ブレラ」風のものになり、大きくイメージを変えました。その後、2006年4月を持って販売が終了し、後継モデル「159」へと引き継がれました。156は、デビュー翌年の2008年に欧州カーオブザイヤーや日本のグッドデザイン賞を受賞するなど、世界各国で幾多の賞に輝くなど大ヒット。当時、経営難にあえぐアルファロメオ復活の立役者となりました。