フォード・モーター(フォード・ヨーロッパ)は1976年、欧州市場において同社初のハッチバック・コンパクトカーとなる「フィエスタ」(MKⅠ)を発売しました。堅実な設計ながらもトータルバランスに優れ、欧州各国でベストセラーカーとなりました。又、アメリカや日本にもそれぞれの排出ガス規制に対応したモデルが導入されました。
ボディは3ドアのみ
ボディタイプは3ドアのみの設定で、乗用モデルの他にパネルバンも製造されました。直線基調のプレーンなスタイリングが備わるボディのディメンションは、全長3,648mm×全幅1,585mm×全高1,326mm、ホイールベース2,290mmで、競合モデルの初代フォルクスワーゲン・ポロやルノー・サンクなどと比較すると、全長が長くホイールベースは短いディメンションでした。
駆動方式は横置きFFで、エンジンは当初「ケントユニット」と呼ばれるガソリン1L直4OHV(最高出力45hp)及び1.1L直4OHV(最高出力50hp)が用意されました。組み合わせられるトランスミッションは、4速又は5速MTでした。サスペンション形式は、フロントにマクファーソンストラット式が、リアにトレーリングアーム式が採用されました。
又、ブレーキ形式は標準的なフロント:ディスク式/リア:ドラム式でした。当初のグレード体系は、下からベースグレード、「ポピュラー」、「L」、「ギア」、「S」のラインナップでした。そして1978年に、Lとギアの間を埋める新グレード「GL」が設定されました。又、アメリカ市場への導入が開始されたのもこの年の事でした。
搭載エンジンは三元触媒の備わるガソリン1.6L直4SOHCで、外観面でも衝撃吸収バンパーが備わるなど欧州向けモデルとは仕様が異なっていました。続いて翌1979年、専用の内外装や足回りが備わるボディに、ガソリン1.3L直4OHVエンジン(最高出力66hp)を搭載する欧州向けのスポーティグレード「スーパースポーツ」が追加されました。
1983年のマイナーチェンジでMKⅡに移行
更に同年末には、アメリカ仕様をベースとした1.6Lエンジン(最高出力95hp)を搭載し、最高速度175km/hの性能を持つ「XR2」が追加されました。次いで1983年にマイナーチェンジが実施され、フロントマスクのデザインを一新したMKⅡに移行しました。同時に、1.3LエンジンがSOHCの「CVHユニット」(最高出力69hp)に置換されました。
更に、「エスコート」にも搭載される1.6L直4SOHCディーゼルエンジン(最高出力54hp)搭載車が追加されました。次いで1985年に1.3Lエンジンが1.4Lエンジン(最高出力75hp)に置換され、1987年には1.1L車にCVT仕様が追加されました。そして1989年にフルモデルチェンジが実施され、2代目MKⅢに移行しました。