アルファロメオは1989年のサロン・アンテルナショナル・ド・ロトで、小型セダン「75」をベースにフィアット、ザガードとの3社による共同で開発したコンセプトモデル「ES-30」を発表、そして同年に市販バージョンとなる2シーター・スポーツクーペ「SZ」がリリースされました。SZの車名を冠するモデルは、1957年から1962年まで生産された初代モデル以来27年ぶりの事でした。
怪物と仇名されたスタイリング
ボディのデザインはザガードにより手掛けられたES-30と異なり、社内チームによる案が採用されました。スタイリングは曲線的で流麗なプロポーションを持っていた初代SZから一転し、エッジを効かせたアクの強いフォルムを備えており、「イル・モストロ(怪物)」と仇名されました。しかしながら空力特性も抜かりなく追求され、Cd値0.3を実現していました。
ボディパネルの素材は、アルミ製の先代と異なりスチール製であったものの、キャビン部分にFRPを採用する事により軽量化が図らました。ボディサイズは全長4,060mm×全幅1,730mm×全高1,310mmというショート&ワイドなディメンションが特徴で、ホイールベースは75と同一の2,510mm、車両重量は1,260kgでした。
サスペンション形式は、75と同一のフロント:ダブルウィッシュボーン式/リア:ド・ディオンアクスル式が踏襲された他、120mmという低いロードクリアランスから生じる問題を解消する為、車高を40mmアップさせる機能が備わっていました。駆動方式は75同様のFRで、トランスミッションをリアに搭載するトランスアクスルレイアウトも受け継がれ、前後重量配分は56:44となっていました。
3L V6エンジンを搭載
エンジンは、「75 3.0V6」と共通のアルミ合金製3L V6SOHCで、圧縮比を9.5:1から10.0:1まで高めるなどのチューニングにより、最高出力が20psアップとなる最高出力210ps/6,200rpm・最大トルク25kgm/4,500rpmのアウトプットを発生しました。トランスミッションは75 3.0V6同様の5速MTが採用されものの、ファイナルレシオが低められていました。
動力性能は、75 3.0V6に対し最高速度が25km/hアップの245km/h、0-100km/h加速が0.5s短縮された7sでした。又、ブレーキは75同様、フロントがベンチレーテッド型の4輪ディスク式が採用されました。一方、ホイールとタイヤはインチアップ&ワイド化が図られ、フロント:7J×16ホイール+205/55ZR16タイヤ/リア:8J×16ホイール+225/50ZR16タイヤが装着されました。
SZの製造はザガードの工場で行われ、生産終了となる1991年までに1000台が生産されました。又、翌1992年にはカブリオレ版の「RZ」が発売され、1993年までに350台が生産されました。